金融

4~6月期マイナス成長も 政府の景気回復シナリオ狂う

 3回目の緊急事態宣言は延長が決まり、大幅な持ち直しが期待された4~6月期の国内総生産(GDP)は一転して2四半期連続のマイナス成長になる可能性が出てきた。経済活動を徐々に再開し、景気回復を軌道に乗せたかった政府のシナリオは崩れ始めている。

 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、宣言延長と対象地域の拡大で経済損失(個人消費)は延長前の2・5倍となる1兆7600億円に拡大すると試算。年明け以降の2回目の宣言で落ち込んだ景気は、3月に一度持ち直した後、「異例の3番底に陥る」と説明する。

 このほか、輸入などの要素を加えたGDPベースで大和総研は8千億円、第一生命経済研究所は8014億円、みずほ証券は1兆円の損失をそれぞれ見込む。

 日本経済研究センターが宣言発令前に集計した民間エコノミスト36人の予測では、1~3月期の実質GDP成長率が前期比年率6・1%減と3四半期ぶりのマイナス成長に陥った後、4~6月期は5・6%増と反動増を期待した。だが、大和総研の神田慶司シニアエコノミストは、宣言延長で4~6月期も0・8%減のマイナス成長になるとみる。

 政府内では景気が昨年5月ごろ底打ちし拡張期に入ったとの見方が強く、夏の東京五輪や秋までの衆院解散・総選挙を控え「コロナ復興」をアピールしたいところだ。ただ、2四半期連続マイナス成長は欧米などで景気後退を意味し、思惑通りにはいきそうもない。

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