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新型コロナ 帰国検討要請、悩ましい対応 インド進出の日系企業

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なインドで、進出する日本企業の操業などに影響が広がっている。同国自動車最大手のスズキがすべての基幹工場の生産を一時停止したほか、パナソニックも工場の操業を止めた。日本政府が、現地に滞在する日本人を対象に、一時帰国を含めた検討を求めていることから、駐在社員を帰国させる企業も出ており、日系各社は急速な感染拡大への対応に悩まされている。

操業停止拡大も

 スズキは1日から9日まで、工業用の酸素を医療に回すための措置として3工場の生産を一時停止する。コロナ感染の重症者向け医療用酸素が不足する中、現地政府の要請に応じ、溶接などで大量に使用する工業用酸素を供出するため、操業を止める異例の措置をとった。現地の関係者によると、スズキ同様に工業用酸素を供出し、減産している自動車部品メーカーもある。

 またパナソニックは、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどを生産するインド・ハリヤナ州の都市封鎖(ロックダウン)措置に対応し工場の操業を4月27日から停止。当初は5月3日までの予定だったが、ロックダウンが続いているため、解除されるまで操業停止を延長する。

 ダイキン工業は、エアコン工場のあるラジャスタン州から外出制限が出ている。工場の操業は許可されており、現在生産は続けているが、感染拡大の状況によっては操業に影響がおよぶ可能性もある。

 一方、ムンバイでオフィスビル開発事業を手掛ける住友不動産では、日本人駐在員を最小限の人数に限定すると同時に、現地スタッフも含め、在宅勤務を続けている。総合商社や金融機関などの駐在社員も、自宅から各種オンラインツールを活用して商談などを進めているという。

進むテレワーク活用

 インド初の高速鉄道計画に、車体設計支援などで協力するJR東日本は、傘下の日本コンサルタンツの技術者全員がすでに昨年夏までに帰国済みで、「ビデオ会議や電話などで、日本からインドの技術者の支援を継続」(広報)している。

 こうした中、日本政府では外務省が「スポット情報」で、一時帰国を含めた検討をインドに進出する日系企業に求めており、約30人が駐在していた日本製鉄はすでに全員を帰国させたほか、約10社程度が日本人駐在員の全員退避を実施したもようで、1400社超の進出企業の多くも日本人駐在員の一部帰国の対応を進めている。

 丸紅の柿木真澄社長は6日の決算会見で「駐在員の健康と安全を第一に、帰国措置を視野にいれている」と語った。三井物産では「(自社の)一時帰国制度などを使って、駐在員とその家族の帰国を進めている」(広報担当者)。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)の村橋靖之ニューデリー事務所長によると、「工場長や現場関連の担当者はインドに残すが、一部の駐在員を帰国させたり、ローテーションで帰国させることで調整に入っている企業が多い」という。

 ジェトロもインドでは5つの事務所を持つが、各事務所の所長は残留するが、職員の一部を帰国させる準備に入っている。

 ただ、村橋所長は、「インドでは依然感染者数は多いが、4月のような急激な感染者拡大はなく、高止まりの状況」と語り、感染が再び急拡大せず、今の状況ならば、多くの進出企業は「全面退避の措置には至らない」と予測している。

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