高論卓説

カーシェア需要、好機にできるか 持続可能な社会実現へ試金石

 自粛ムードが続く東京で、今年のゴールデンウイークはいつもとは違う場所が忙しかったようだ。それは車のレンタルサービスである。密が気になる人たちは電車など明らかに混雑している移動手段を避けたがるのは当然であろう。そうならば、最小限の家族単位で安心して移動手段を確保できるサービスに目が向く。

 連休中、都内から伊豆まで出かけた知人によると、1泊2日、8800円でカーシェアリングし、高速代を払ったとしても、大人2人ならば電車代よりも安いのだと教えてくれた。密を気にせず、安いならば断然カーシェアリングという選択肢なのだそうだ。ちなみに、昨今はレンタカーからカーシェアリングに切り替わっている業者が多いようだ。

 両者の違いはいったい何か。一番の違いは、有人か無人かである。レンタカーは当然ながら、店舗に出向き、手続きを済ませ、借りる車の鍵を受け取らなければならない。一方、カーシェアリングは事前に会員登録が必要だが、専用の会員カードを持っていれば、借りる車が置いてある場所に出向けばいいだけである。当然ながらそこに人はいない。専用の登録カードを車にかざすとロックが解除される仕組みである。完全に密から解放されている。

 そのほかにも違いとしては、レンタカーはガソリンを満タンにして返さなければならないが、カーシェアリングは必須ではない。レンタカーは車種を豊富に選べるが、カーシェアリングは車種も少ないので、車好きには楽しみが半減する。しかし、そんな中でも大きくカーシェアリングに軍配が上がるのは、まさに時代に適応しているからだろう。

 手順としては、カーシェアを希望する会社のアプリをスマートフォンに取り込む。日程と時間、使用時間を選ぶ。そうすると、借りられる場所にフラグが立つのでそこから車種を選べばいい。例えば、このA地点に行けば、ホンダのフリードが借りられるのだな、B地点に行けばスズキのソリオ、C地点に行けばトヨタ自動車のカローラが借りられる、という具合だ。

 さて、ここで一つ懸念点が出てくる。それは、2035年に新車販売を電気自動車(EV)などに限定する目標を政府が打ち出していることである。

 現在のカーシェアリングではEVは無理である。EV用のコンセントとセットで考えなければならないのが難しいところである。国は充電器を設置するにあたり補助金を出している。しかし、補助金による設置がピーク時は約3万基あったものが20年度は260基程度という。しかも商業施設や宿泊施設からの撤去が目立つそうだ。新型コロナウイルスによる経営悪化や、EVの利用者が少なければ耐用年数を超えた設備は更新されないまま放置されることになる。

 一般財団法人自動車検査登録情報協会によると20年3月末時点でEVの乗車保有台数は、約11万700台。普及率は0.2%にとどまる。世の中の流れは、所有するよりもシェアする時代、密を避けて動く時代である。カーシェアリング需要への対応から持続可能な社会の実現に向けた政府の本気度が試されることになるだろう。

【プロフィル】芝蘭友

 しらん・ゆう ストーリー戦略コンサルタント。グロービス経営大学院修士課程修了。経営学修士(MBA)。うぃずあっぷを2008年に設立し代表取締役に就任。大阪府出身。著書に『転職・副業・起業で夢が実現!安く売るより高く売れたい』(WAVE出版)、『死ぬまでに一度は読みたいビジネス名著280の言葉』(かんき出版)がある。

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