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東京五輪どころではない コロナ対策強いられるスポーツ界、試合のあり方

 澄み切った青空。五月晴れがすがすがしい。前週の国内女子ゴルフ「ワールドレディスサロンパス杯」(茨城・茨城GC東コース)を取材した。

 最終日、3打差で首位にいた“黄金世代”(1998年度生まれ)高橋彩華(22)がスコアを崩し、今年9戦4勝を挙げた稲見萌寧(21)、大里桃子(22)が激しく追い上げる。最後に抜け出したのが“ミレニアム世代”2000年生まれの西村優菜(20)。逆転で4大大会初優勝(ツアー2勝目)を飾った。

 PCR検査を受け、検温、マスクをつけ、間近で見た。選手が一打一打に死力を尽くす。喜びと悔しさが交錯し、吐息さえ聞こえそうな緊迫感。固唾をのむ。静寂の争いの中の迫力、激闘があったが、残念ながら無観客。一般のファンは生で見ることができなかった。

 声援がプレー後押し

 今季10試合消化した女子ゴルフ。新型コロナウイルス感染防止策を徹底し、ギャラリーを入れたのはわずか3試合…。直近の有観客大会は3週間前「フジサンケイレディス」(静岡・川奈ホテルGC富士コース)。1日1000人を上限としたが、華やかだった。

 「ウオッ!」

 「ナイスバーディー」

 いいプレーにはどよめきが上がる。そして大きな拍手。選手も声の方向に視線を向け、ニコッと笑って応える。選手とファンの絶妙のコミュニケーションである。例年ならありふれた光景が、とても新鮮だった。

 プロなら、どんな環境でも最高の技術を披露して然りであろうが、“見られてプレーする”ということは大きなモチベーションになる。観客も緊迫した場面でのプレーに歓喜する。そんな日常が一瞬でも戻ってきたのがうれしかった。優勝した稲見萌寧がこう話していた。

 「久しぶりに声援の中でプレーができて楽しかった。声援は絶対に後押ししてくれました」

 海外はどうか。男子ゴルフで今年初めてギャラリーが解禁されたのは2月の「フェニックスオープン」。上限は1日5000人。「マスターズ」でも1日5000人前後のパトロンが優勝した松山英樹(29)のスピーチを喝采した。

 米国ではワクチン接種が急ピッチで進んでいる。今後もギャラリー制限が大幅に緩和される方向である。松山が出場する今年海外メジャー2戦目、「全米プロ選手権」(5月20開幕)、「全米オープン」(6月17開幕)、女子では渋野日向子らが出場予定の「全米女子オープン」(6月3日開幕)、「全米女子プロ選手権」(6月24日開幕)も有観客が決まった。

 規模は1日8000~1万2000人。新型コロナの動向を注視し、感染予防と健康対策を重視、ギャラリーにワクチン接種を義務付けての観戦を認めるとしている(一部はPCR検査でも可)。

 日本はどうか。「ほけんの窓口レディス」(今週14日開幕)も含め男女ともに無観客が続き、“ギャラリー宣言”しているのは「アース・モンダミンカップ」(6月24日開幕)まで待たなければならない。

 ゴルフは“3密”がない。一定方向での観戦で、大騒ぎもない。一定のルールを守れば感染リスクはほとんどないのだが。「ファンがいると盛り上がりが違う」とはある大会関係者。テレビ観戦でも、画面を通してギャラリーがいるといないのでは“熱量”が違う。ファンがスポーツを盛り上げるのである。

 五輪どころではない

 再び感染拡大が懸念され、目下非常事態宣言、蔓延(まんえん)防止等重点措置が14都道府県に発令されている。スポーツ界も大きな影響を受けている。プロ野球は徹底した観戦防止策をとり、クラスターも発生しなかったが、相変わらずお上は横並び政策を出すだけ。東京、大阪、神戸に本拠地を置く巨人、阪神などは無観客を強いられた。

 12日から上限5000人に緩和されるが、斉藤惇コミッショナーは10日、「プロ野球の無観客というのは例外中の例外。単なる試合数の消化で、やる意味があまりない。12球団のオーナーさんも(各球場の収容人数の)50%ぐらいではやりたいという気持ち…」と言及した。

 相変わらずワクチン接種は進まないニッポン。国民に我慢を強いるだけのコロナ対策…。アスリートもファンも置いてきぼり。このままでは、当然ながら東京五輪どころではない。(産経新聞特別記者 清水満)

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