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助成金より根本的なコロナ対策を 大田工業連合会会長・舟久保利明さん(77)

 --新型コロナウイルスの町工場への影響は

 「1~2月に行った会員企業へのアンケートでは66%が『経営に影響がある』、32%が『今後影響が出る懸念がある』と回答した。売り上げの減少率も尋ねたが、全体平均で30~40%減という結果だった。業種によって異なるが、一部では激減している会社もある。債務超過に陥る前に廃業する企業も増えている。既に大田区の町工場は量産型企業が淘汰(とうた)され、試作品などを製造する高度な技術を持つ会社が中心となり、頑張っている。その中でも1社依存の会社が厳しい状況に置かれている」

 --コロナの影響で、町工場が変わった所はあるか

 「受発注商談会が中止となり、営業する場がなくなったため、ホームページを充実化させる動きが出ている。顧客も外に出られないので、優れた技術をインターネットで探している。町工場も自社の技術や設備をPRするため、動画配信などで積極的に知ってもらう取り組みを行っている。商談もオンライン対応が求められており、町工場のデジタル化は確実に進んでいる。工業会の会合も、テレビ会議で行われている」

 --政府や自治体への要望は

 「助成金制度や無利子の融資制度などで支援していただいているが、それよりも根本的なコロナ対策に取り組んでほしい。昨年春からコロナが収束せず、町工場は疲弊している。4月に3回目の緊急事態宣言が発令されたが、このままでは4、5回目があるのではないかと思ってしまう。経済活動が元に戻る姿が全く見えず、先行きに不安を感じている町工場は多い。国産ワクチンの開発や全国民のPCR検査の導入など、コロナを根本から封じ込める対策を行ってほしい。今の対策では経済活動が完全に再開できるとは到底思えない。政府はより思い切った策を打ち出してほしい」

                   ◇

【プロフィル】舟久保利明

 ふなくぼ・としあき 慶大卒。1967年、昭和製作所に入社。84年に社長に就任し、2013年からは会長。07年から大田工業連合会会長、15年から東京工業連合会会長。東京都出身。

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