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さくらソフト/TASLY JAPAN ゲーム競争厳しくヒット作続かず

 ▼さくらソフト さくらソフトは4月7日、関連のまかねソフトは同月14日にそれぞれ千葉地裁から破産開始決定を受けた。

 さくらソフトは、千葉県の学生エンジニアがSI事業を目的に設立。その後、携帯向け通信販売サイトのシステム開発を開始し、2010年からはモバイルゲーム市場に参入した。「モンスター☆モンスター」「神装!!ヴァルキリーカード」「帝国戦記」などをリリースし、14年8月期には売上高約15億円を計上。17年4月には初のスマートフォン向けアプリ「アルスラーン戦記 戦士の資格」をリリースしていた。

 関連のまかねソフトは、東証1部上場のKLabの岡山事業所を分割して設立。20年8月1日付でさくらソフトが全株式を買い取り、同社のゲームタイトルの開発・運用を手掛けた。

 しかし同業者との競争が厳しさを増す中、ヒット作にも恵まれず、さくらソフトの18年8月期の売上高は約9億円まで落ち込んだ。

 21年8月期に入り本社の移転などで経費削減を図ったが、業績および資金繰りは改善せず、まかねソフトとともに今回の措置となった。

 ▼TASLY JAPAN TASLY JAPANは4月20日、東京地裁に破産を申請した。

 中国で製薬会社などを展開する「天士力」と連携し、会員向けに健康食品や化粧品、製茶などの販売を手掛けていた。会員は商品代金相当分を入金し、同社は会員へ定期的に商品を送付するほか、入金額に応じたボーナスを支払うネットワークビジネスを展開。商品の宣伝などで会員が増加し、2014年3月期は売上高約32億6000万円を上げていた。

 しかし、会員を増やし続けなければ維持できないビジネスモデルで、20年に入ると新型コロナウイルスの感染拡大による売り上げ不振に見舞われ業績が悪化。仕入れや会員向けのボーナス支払いなどが困難となり、事業継続を断念した。

【会社概要】さくらソフト

 ▽本社=千葉市花見川区

 ▽設立=1998年5月

 ▽資本金=3000万円

 ▽負債額=約3億4000万円 (関連会社含む)

【会社概要】TASLY JAPAN

 ▽本社=東京都江東区

 ▽設立=2007年11月

 ▽資本金=1億円

 ▽負債額=約2億6000万円

 〈チェックポイント〉

 さくらソフトはモバイルオンラインゲームの市場拡大を追い風に業績を伸ばしたが、ヒット作が続かなかった。スマートフォン普及で高い成長性を誇る業界だが、人気タイトルに左右され浮き沈みは激しい。経営資源に乏しい小規模のベンチャー企業ほど、いかに早く収益源を確保し持続できるかがポイントになる。

 TASLY JAPANはネットワークビジネスの会員約1000人が被害を受けた。こうした業態は高額のボーナス配当を売りに会員を募るが、配当の負担も重いため自転車操業に陥りやすい。コロナ禍による売り上げダウンがあったとはいえ、従来の事業計画やビジネスモデルに無理はなかったか、検証が必要だろう。(東京商工リサーチ常務情報本部長・友田信男)

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