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在宅勤務、大企業にも高い“壁” パナソニック「出社3割」設定

 3度目の緊急事態宣言が5月末まで延長され政府が出勤者の7割削減を求めているのを受け、大企業は厳しい在宅勤務の導入目標を掲げて取り組んでいる。ただ、忙しい決算シーズンと重なったり、そもそも業種としてなじまなかったりして、目標達成が難しいケースも。政府は主に大企業に対して実施状況を公表するよう求めており、各社は苦しい対応を迫られそうだ。

 パナソニックは13日、宣言の対象地域で出勤者の7割削減を目指すと発表した。12日からの宣言延長を受け、対応を厳しくした格好だ。これまでは「可能なら原則在宅勤務」などとし、4月には通勤定期券代の代わりに月額約3千円のリモートワーク手当を導入していた。

 ほかの大企業は、4月25日の宣言発令にあわせて設けた目標を延長後も掲げ、取り組んでいる。ダイキン工業は営業、総務など間接部門の出社率を3割まで下げる目標を掲げ「ほぼ達成している」(同社)。積水ハウスはオフィス以外でも働けるよう、パソコンやタブレット端末を提供し、「(7割削減の)目標を達成できていると思う」とする。

 大企業は中小企業に比べテレワークの環境を整えるだけの経済的な余裕があり、導入に有利だ。

 だが、大企業も事情によっては必ずしも導入できず、ハードルは高い。

 「決算前で多忙なため、なかなか達成できない部分がある」。こう語るのは、大阪に本社を置く大企業の関係者。ある金融機関は役員自ら会議にリモート参加しているが、関係者は「個人情報などを含むデータは社外に持ち出せないし、人数の少ない支店では実施は困難」と打ち明ける。

 製造業や運輸業など現場を抱える業種も7割削減は厳しい。ある鉄道事業者は「(十分に人を手当てして万全の運航を期すという)公共事業を担っている性質上、オフィスでも削減率は設定できていない。5割削減を目指す部署もあるが、会社全体で7割削減は、まったくできていない」とする。

 日本生産性本部が4月に全国1100人を対象にした調査では、都道府県別のテレワーク実施状況は東京都が41・7%と7割に届かず、大阪府は18・6%にとどまった。企業にとってテレワーク導入の難しさが浮き彫りになった形だ。

 西村康稔経済再生担当相は今月11日、経済3団体に対し、企業が出勤者を何割減らしたかといった実施状況を公表するよう求めた。公衆の目にさらされ真剣さが足りないとみなされば、投資や人材の呼び込みに悪影響を及ぼし、企業価値が損なわれることになりかねない。

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