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「日本に悪路は少ないのに」なぜジープの販売台数は10年で13倍に急増したのか (1/3ページ)

 ジープが売れている。日本での販売台数は10年以上右肩上がりで、2020年の販売台数は2009年の13.5倍だ。なぜ人気なのか。ジープ各モデルの試乗を体験し、自らも「チェロキー」を所有していた交通コメンテーターの西村直人さんが解説する--。

 10年以上販売台数を伸ばし続けている

 包まれるような安心感はどこからくるのだろうか?

 2021年、Jeepは誕生から80年を迎えた。軍用車両からスタートした米国のJeepが、この10年以上、日本で販売台数を伸ばし続けている。2020年にJeepが国内で販売した車両は1万3588台と2009年から約13.5倍も増えた。SUVに限定して計上すると、メルセデス・ベンツ(2万0263台)、フォルクスワーゲン(1万5210台)に次ぐ3位の台数だ。

 日本での一番人気モデル「ラングラー」は、2021年3月に月間販売台数1123台(同年同月Jeep全体の約58.3%)を記録した。ラングラー単独で1000台/月を超えたのはこれが初めてだ。ラングラーはすっかりJeepの顔となり、2020年は5757台とJeep全体の約42.4%を占めた。

 Jeepブランドの末っ子モデル「レネゲード」の販売台数も導入以来、右肩上がりだ。2020年は3881台とJeep全体の約28.6%に達した。扱いやすいボディサイズとJeepらしいアイコン的なデザイン、300万円を切る車両価格にJeep本来の魅力である走破性能が加わり人気を博す(台数は日本自動車輸入組合、及びFCA広報部の発表値)。

 日本で人気のSUVと一味違う方向性

 日本でJeepの引き合いが強い理由のひとつにSUV人気が挙げられる。大地をしっかり捉える大きなタイヤに、セダンよりも背が高く見晴らしの良いボディ、そして4WD(4輪駆動)方式による道を選ばない優れた走破性能は、潜在的なユーザーにとって魅力的に映る。

 SUV人気は15年以上に渡って続く世界的な流れで、今や自社のラインアップにSUVを持たないブランドのほうが少ない。スポーツカーメーカーとして名を馳せるポルシェも、今やSUVである「マカン」や「カイエン」が屋台骨を支える。

 日本でのSUV人気にはいくつかの特徴がある。トヨタ「ヤリスクロス」、「ハリアー」、「RAV4」、ホンダ「ヴェゼル」、マツダ「CX-5」などに共通するのは、都市型SUVともいえるスマートで、上質な装備をもつことだ。

 分かりやすく日本で人気があるSUVの多くはオンロード(舗装路)での走りに重点を置き、快適な車内で目的地までの移動空間を楽しむ、そんなユーザー層に向けたモデルが多いのだ。

 そうしたなかJeepである。「レネゲード」、「コンパス」、「ラングラー」、「チェロキー」、「グランドチェロキー」と日本市場でラインアップするモデルはいずれもタフなイメージが先にくる。実際、末っ子のレネゲードであっても兄貴分の各モデルに負けない優れた走破性能を持つ。

 つまりJeepは、日本におけるSUV人気とひと味違う方向性を持っているわけだが、これこそJeepが日本で(も)売れ続ける大きな理由のひとつだ。

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