東大阪産の「新玉ねぎ」を使った和菓子と洋菓子が完成し、14日から販売が始まった。大阪府東大阪市の製菓店が新たに売り出す「地元産野菜を使った菓子」の第1弾。特に和菓子の方は見かけもタマネギを模したユニークな仕上がりとなった。味はどちらもおおむね好評で、発売初日はすぐに売り切れた。
開発したのは和菓子専門店「菓匠庵白穂(しらほ)」。同店はこれまでにも、東大阪産のイチゴを使った「イチゴ大福」などを製造、販売してきた。4月下旬ごろ、農産物の販売振興を図りたい「JAグリーン大阪」(本店・東大阪市)の仲介で、市内の農家が生産した野菜を使った和洋菓子開発の企画が浮上した。
野菜を使った菓子の開発は初めてだったが、最初の商品は5月前後が旬で甘みがある新玉ねぎを材料に、和菓子と洋菓子をそれぞれ作ることに決めた。開発にあたっては、「調理しすぎて料理の味にならないようにこだわった」(同店の新澤貴之さん)という。
試行錯誤の末、あん入りまんじゅうの表面に新玉ねぎや寒天などを使い、見た目も“新玉ねぎ”を再現した和菓子「新玉ちゃん」(税込み250円)と、新玉ねぎを具材に焼き上げた洋菓子「玉ねぎパイ」(同)が完成した。
初日の14日は、JAグリーン大阪本店に併設された農産物直売所でそれぞれ限定50個を販売。午前9時半の発売開始から40分余りで売り切れた。野田義和市長も公務の合間に駆け付け、新しい“地元発の菓子”を購入。「(ものづくりのまち東大阪の)新たな名物になってくれれば」と期待を込めた。
菓子に使う新玉ねぎを生産する市内の農家、山口裕之(ひろじ)さん(65)は「野菜が菓子になるとはびっくり。今後の生産の励みになる」と歓迎。商品化に関わったJAグリーン大阪の森田耕司直売課長は「和菓子はみずみずしさがあり、洋菓子も新玉ねぎの甘みが出ている」とアピールする。
今回の新玉ねぎを使った2商品は当面の間、同市内にある和菓子店「白穂」の2店舗で販売。同店は地元野菜を使った商品化を継続するとしており、第2弾以降の材料として新じゃがを検討しているという。