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デジタル改革関連法成立 国民の利便性向上も、情報保護体制強化が急務

 政府は、デジタル改革関連6法が先週成立したことで、行政のオンライン化やデジタル化を一気に進めたい考えだ。9月に発足するデジタル庁は、新型コロナウイルス禍で浮き彫りになった行政のデジタル化の遅れを取り戻す司令塔となる。菅義偉(すが・よしひで)首相は、自身の肝いり政策実現で政権浮揚を図りたい考えだが、個人情報保護を徹底した上で国民が利便性を実感できるかどうかが成否の鍵を握る。

 「長年の懸案だったわが国のデジタル化にとって大きな歩みになる。デジタル庁発足に向け、しっかりと準備していきたい」。首相は関連法成立後、官邸で記者団にこう語った。

 デジタル化の必要性は、新型コロナ対策の10万円の給付金配布が滞ったことがきっかけで注目された。オンライン申請に使われたマイナンバーカードのシステムの未整備などで自治体窓口は混乱した。

 このため関連法により、自治体ごとに異なる情報システムを国の基準に合わせて標準化するなどデジタル基盤整備を本格化させる。自民党デジタル社会推進本部で事務総長として議論を取りまとめた小林史明ワクチン担当大臣補佐官は、自治体が担う新型コロナワクチン接種の予約システムが各地で混乱していることを踏まえ「国がインフラとして整備していれば防げた可能性が高い」と指摘。その上で「標準化により自治体の負担が軽減されれば別の対面サービスに予算や人を充てられる」と強調する。

 マイナンバーを給付金などの受け取り用の預貯金口座とひも付けることで、災害で通帳を紛失した場合や相続時の口座照会も可能になる。マイナンバー活用で、転出届を転居先の自治体へ事前に通知することもできる。個人情報保護法の一本化は情報のやりとりを円滑化し、迅速な行政対応につなげる狙いがある。

 行政機関などが持つさまざまなデータの集約・共有化を図り、新たな行政サービスや民間ビジネスの創出につなげることも目指す。

 ただ、デジタル化の促進には、無料通信アプリ「LINE(ライン)」利用者の個人情報が中国の関連企業で閲覧できた問題のように情報の漏洩(ろうえい)や目的外使用への懸念が高まる。野党などからは「監視社会につながる」といった懸念の声も上がる。経済安全保障の観点からも、個人情報保護委員会の強化を含め、情報の管理体制の整備が急務となる。(長嶋雅子)

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