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千葉・勝浦朝市、430年目の新展開 会場からライブ中継で食材販売

 安土桃山時代の天正19(1591)年に始まり、今年、430年を迎えた勝浦朝市(千葉県勝浦市)で、新しい取り組みが始まる。現地を訪れなくても、朝市の会場から生中継される配信をスマートフォンやパソコンで見て、販売中の食材を注文できる「ライブコマース」だ。22日に初めて実施し、その後も毎月第2・4土曜に行う。伝統的な朝市と最先端の販売手法との組み合わせが新たな“市場”を生み出し、定着させられるかが注目される。

 「朝市買物代行サービス ONLIVE!」として、まる鮮(埼玉県朝霞市)が午前8時から9時半頃まで行う。同社代表の小田佑介さん(35)やスタッフがライブ配信で、現地で出店者に話を聞きながら、朝市で販売されている魚介類や野菜、果物などを紹介。1日当たり10~15店、1店当たり1~3の商品が対象となる。利用者は配信を見ながらリアルタイムで注文できる仕組みで、商品は翌日、クール便で自宅に届く。注文できる地域は、中国地方を除く本州に限られる。

 勝浦朝市は、石川県の輪島、岐阜県の宮川と並ぶ「日本3大朝市」の一つといわれるが、出店者はピーク時と比べると大きく減少している。平成30年には「かつうら朝市の会」が発足。これまで朝市を運営してきた出店者と地元自治会に加え、勝浦市や市商工会、市観光協会も参加し、新体制で活性化を目指してきた経緯がある。かつうら朝市の会会長の江沢修さん(71)は、「今までになかった画期的な企画で、勝浦や朝市の良さを広く知ってもらえる機会になると思う」と、期待を寄せる。

 さまざまな事情で朝市に行けない利用者が、現地で買い物するような気分を味わえることを重視。ライブ配信中、利用者が端末に入力することで、お薦めの調理法や保存の仕方など、出店者に質問できる。小田さんは、「澄み切った朝の空気と、朝市ならではの人の活気を感じていただきたい」と話している。まる鮮は他の朝市でも同様の取り組みを行い、全国の朝市の店が出店する販売サイトも運営している。

 ライブ配信の視聴ページにつながる同社のホームページは、https://marusenllc.com。雨天時は翌週の土曜に延期することがあり、ホームページで告知する。ライブ配信での注文には、商品代金のほかに、買い物代行手数料(クール便送料込み)がかかる。「鮮魚丸のまま10尾まで」が2980円など。(高橋寛次)

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