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雪ヶ谷化学工業、いち早くテレワーク実施 人材確保へ働き方改革推進

 スポンジメーカーの雪ヶ谷化学工業(東京都品川区)が働き方改革に力を入れている。同社は化粧品用スポンジでは世界規模で大きなシェアを有する業界大手だが、近年は少子化などに伴う人口減少もあり、人材の確保や定着に腐心してきた。この状況を改善するための取り組みとして働き方改革を本格化したという。

 「優秀な人材を採用するとともに、長くとどまってほしい。そのためには、きれいで利便性の高いオフィスといったことに加え、健康で働きやすい職場環境を追求していく必要がある」

 そう話すのは同社の坂本昇社長。働き方改革とともに、健康経営や国連が提唱する「持続可能な開発目標(SDGs)」を視野に入れた経営を進めてきた。

 例えばテレワークについては2019年から準備を開始した。20年になるとすぐ新型コロナウイルス感染が拡大。同年2月以降は中国にある工場から緊迫した情報が入ってきていたこともあり、テレワークに切り替え、時差通勤なども実施している。

 これは事業継続計画(BCP)という点でも意味がある。同社では健康経営とBCPの観点から、全社員に対してインフルエンザワクチンの接種を実施するといった取り組みも進めてきた。

 同社は、先代の社長が社会貢献活動に熱心で、これまでも中国に小学校を建設したり、大学に奨学金を寄贈したりといった取り組みを行っている。坂本昇氏が社長になってからはSDGsに掲げられている環境対応などを強化。取引のある西武信用金庫から紹介を受けた企業から生分解性素材の供給を受け、自社の製品へのこうした素材の使用を進めている。また、フェアトレードの天然ゴムを使用した新製品の開発、製品への天然素材「植物性スクワラン」などの活用にも取り組んでいる。

 「こうした一連の取り組みは、スタートした1~2年前に比べると世間の注目も比較にならないほど高まっている」(坂本社長)こともあり、社員の反応や評判も上々だ。

 「生活習慣病対策で社内にある飲み物の自動販売機にカロリー表示をするなど、今ではさまざまな取り組みを実施している。そうした成果もあり、社員の健康に対する意識も高まっている」(総務部の森理恵さん)

 中堅・中小企業ではこうした取り組みがまだまだ遅れている。半面、極端な人口減少が進む日本では、人材の確保が大きな課題だ。企業価値を高めていく上での要は人材。雪ヶ谷化学工業の挑戦は、少しずつ成果を出し始めているという。

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