島津製作所の子会社「島津テクノリサーチ」は18日までに、新型コロナウイルスの感染者の排便から下水に流れ込んだウイルスを検出する検査サービス「京都モデル」の実験で有効性が確認されたと発表した。ある事業所では感染者の発覚前にウイルスを検出。施設利用者へのPCR検査につなげて感染者を特定し、集団感染を防ぐサービスとして全国展開する。
検査サービスは、施設の下水管に流れる汚水に検査キットの脱脂綿を24時間浸して採取し、PCR検査を実施する。下水からウイルスが確認されれば施設の利用者全員にPCR検査を実施してもらい、感染者を特定して集団感染を防ぐ。
京都府や京都市と協力して3月下旬から約1カ月間実施した実験では、感染者が入院する病院の下水に浸し、ウイルスの陽性反応を確認。ある事業所では、施設利用者約110人のうち感染者1人が発覚する前の実験で、下水からウイルスを検出したという。
同社は13日から検査サービス「京都モデル」として受託検査の提供を開始しており、費用は1回あたり7万円(税別)。すでに100件近い引き合いがあり、検査の準備を進めている。介護施設や障害者福祉施設、学校、病院などでの利用を想定。協力会社と連携して全国展開を進め、年間5千万円の売り上げを目標としている。
同社の八十島誠・分析研究センター長は「ワクチンが普及するまでに、少しでも集団感染の拡大防止の力になりたい」としている。