トップは語る

三菱ケミカルHD 事業継続は脱炭素の観点から判断

 三菱ケミカルホールディングス社長 ジョンマーク・ギルソンさんに聞く

 --4月1日付で三菱ケミカルHD社長に就任した

 「財務状況は就任前から認識していたし、就任前と後で会社の印象はほぼ変わっていない。ただ、製品については思っていたより多様で洗練されていると感じた」

 --昨年10月の就任会見で抱負として事業ポートフォリオの改革を挙げた

 「自社の強みを生かせるか、市場性があるかに加え、脱炭素の流れに合致しているかで事業継続を判断する。石油化学の汎用(はんよう)品についても同様だ。ただ、当社はやはり高機能品に強みがあり、汎用品は基本的にノーチョイスだと思っている。日本は原料を全て輸入しており、コストが高い。そこに努力をつぎ込むべきではない」

 --三菱ケミカルHDは「欧米流」の経営を推進している

 「社員のパフォーマンスを引き出すために最も大事なのは、制度ではなく環境だ。経営者の役割は、社員が仕事に興味を抱き、没頭できる環境を作ることにある。能力主義で(日本の良さとされる)長期的な視野に立った研究開発が失われるとも思わない」

 --社外からの起用で、初の外国人トップだ

 「私は普通の子供として生まれ、普通の家庭で育ってきた。一般社員から幹部まで、本音で語り合える関係が築けるし、会社にはそうした環境が必要だ。私はトップダウンの経営は好まない」

 --日本に住み、仕事をした経験がある

 「日本人は頭が良くて教育レベルが高く、難しい複雑な状況でも能力を発揮できる。一方、特に若い社員は上司に反対意見を述べるのが難しく、良いアイデアがあってもチャレンジできなかったりする。日本にシリコンバレーがないのはそのためだと思う。規律を維持しつつ、少し年功序列を減らせば、より良くなる可能性がある」

【プロフィル】ジョンマーク・ギルソン 1989年ダウコーニング(当時)入社。2014年仏ロケット社最高経営責任者(CEO)などを経て、21年4月から現職。ベルギー出身。

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