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沖縄に緊急事態宣言も…県の連休対応に不満「やるべきことやっていない」

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が23日から適用されることになった沖縄県。医療体制の逼迫(ひっぱく)は深刻で、病院関係者からは「宣言は当然」との声が上がる。一方、5月の大型連休前に感染拡大の懸念が指摘されながら、厳しい措置を講じなかった県の対応には、「やるべきことをやっていない」(政府関係者)とする批判も強まっている。(川瀬弘至)

 救急外来の制限も

 沖縄料理の飲食店や土産物屋が並ぶ那覇市の「国際通り」。沖縄観光のメインストリートだが、ここ数日は人通りも少なく、21日もシャッターを閉めたままの店が目立った。

 5月末で閉店することになったという土産物店の店員(45)は、「昨日は1人の客もいなかった。閉店はやむをえない」と肩を落とす。

 大型連休中は違った。同店にも「5月4日は20人以上来店し、15人が商品を買ってくれた」という。

 全日本空輸と日本航空によると、4月29日~5月5日に沖縄方面を訪れた旅客数は計13万人以上で新型コロナ禍前の半数程度だが、緊急事態宣言中だった昨年に比べると10倍も増加。県内各地の観光スポットに、久々に人出が戻った。

 だが、この「人出」が感染拡大につながる。

 県内の新規感染者数は連休後に急増し、19日には203人と初めて200人を突破。21日は207人で過去最多を更新した。(【「今後も出続け、置き換わり続ける」】相次ぐ新型コロナウイルス変異株に専門家警鐘)

 中でも深刻なのが、医療体制だ。19日には病床占有率が一時100%を超え、現在もほぼ満床の状態。感染者受け入れのため救急外来診療の一部制限や、緊急でない手術や治療を延期する病院も出てきた。

 「県は後手後手」

 急激な感染拡大について、県は「予想以上に、変異株の影響が大きい。われわれの感覚をはるかにこえる状況だ」(謝花喜一郎副知事)と、“想定外”だったことを強調する。

 だが、県の対応が「後手後手だった」と批判する声は根強い。県の専門家会議関係者も「連休中の人出で変異株が広まり、感染が拡大するのは予測できた。結果論だが連休前に緊急事態宣言を政府に要請すべきだった」と漏らす。

 県は、緊急事態宣言中だった昨年の大型連休では、県外からの全面的な訪問自粛を求めた。だが今年は、東京や大阪など感染拡大地域に絞った。このため「強いメッセージと受け止められず、観光客や県民の気の緩みを生んだ可能性がある」(専門家会議関係者)という。

 酒類提供をめぐっても、県の対応に不信が持たれている。政府は感染防止に向け、飲食店における酒類提供の停止を有効策の一つとしているが、県は飲食業界に配慮し、停止しなかった。政府関係者は「県が取りうる最大限の対策を講じず、緊急事態宣言で国に頼るのはどうか」と批判する。

 県が厳しい対策に踏み切らなかったのは、大型連休を「書き入れ時」と捉える経済界の反発を恐れたためだ。しかし感染が急拡大したことで、より大きな観光収入が見込める夏休みにも影響が出かねない状況となった。

 玉城デニー知事は21日の会見で、「これまで全力で取り組んできたが、現在のような状況になったことは、反省すべきであり残念」と述べた。(【GWにツイート】沖縄知事がバーベキュー投稿、飲食につながるイベントの自粛要請中に)

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