放送事業会社「東北新社」が総務省幹部への接待を繰り返していた問題で、事実関係の解明を進めていた同社の特別調査委員会が24日、報告書を公表した。報告書では平成27年11月~令和2年12月までの間、延べ54件の会食が行われたと認定。焦点となっていた、外資規制違反を総務省に報告したか否かについては、社内のメールのやり取りなどから「何らかの報告・相談を行ったと認定することが合理的」とした。
総務省はこれまでに東北新社側と延べ39件の会食があったとする内部調査結果を公表、当時の総務審議官ら11人を処分したが、処分の対象者が今後増える可能性がある。
報告書によると、会食の目的は大半が「関係構築」などで、「不当な働きかけを行ったことを疑わせる事情は認められない」とした。同社社員で菅義偉(すが・よしひで)首相の長男、正剛(せいごう)氏が関与した会食は22件で、首相との関係を利用した働きかけの意図はなかったとした。
一方、東北新社が平成29年8月、外資規制違反に気付いた際に行った報告について、総務省の担当者は「報告を受けた覚えはない」としており、引き続き検証課題として残された。
同社は監督が不十分だったとして中島信也社長ら取締役7人の役員報酬減額処分を発表。公務員との会食は原則禁止とする方針も示した。一連の問題をめぐっては総務省も第三者による検証委員会を立ち上げ、接待で行政がゆがめられた事実がないか調べている。