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「グランプリ1位が乱立」外食チェーンの唐揚げ専門店に共通する強みと課題 (1/3ページ)

 唐揚げ専門店が増えている。専門店の市場規模は前年比120%超えとなる勢いだ。なぜ人気が加熱しているのか。経営コンサルタントの大久保一彦氏は「唐揚げブームの前はとんかつ専門店ブームだった。価格が安く、味のバリエーションの多いことから、取って代わられた」という--。

 ■唐揚げマーケットは前年比23.1%増見込み

 今、「唐揚げ店」が急成長している。2020年6月に発表された富士経済のレポートによれば、唐揚げをメインとして提供するイートイン、テイクアウト両方の店舗を対象としたマーケットは2019年853億円から2020年には1050億円の見込みであると発表された。2019年比で23.1%増となる勢いで、コロナ禍でありながら際立って好調だと言えるだろう。

 同レポートによれば、「2019年は『から好し』を中心に、アークランドの『からやま』『からあげ縁』『「鶏笑」なども店舗数を増加させ、市場規模は2018年比41.0%増となった。2020年も上位チェーンの新規出店が続いている」とのことだ。

 このレポートではハンバーガーや回転寿司などその他の日常的な業態も取り上げられているが、唐揚げは市場規模の前年比伸び率が最も大きく、非常に注目すべき存在になっていることがわかる。

 ■唐揚げブームの前はとんかつブームだった

 テイクアウトの唐揚げ専門店は大分県中津市をはじめとする九州の一部地域で以前から展開されていた。それが2010年ごろから全国に出店するようになり、その流れが東日本大震災以後の経済不況によって加速。外食チェーンも次々と参入した。

 外食企業の新業態というと、2017年~2019年ごろはとんかつ専門店がトレンドだった。コロワイドグループの「とんかつ 神楽坂 さくら」(2016年)、ロイヤルホールディングスグループの「とんかつおりべ」(2018年)、リンガーハットの「とんかつ大學」(同)、ハイデイ日高の新業態「とんかつ日高」(2019年)などがこれに当たる。

 それがコロナ禍以降、よりプライスゾーンが低めで日常性が高い唐揚げ業態に移行した。自宅での食事機会の増加、飲食店の営業時間短縮や酒類の提供自粛要請などがあり、短時間での食事や持ち帰りの需要が激増し、各チェーンの出店に勢いが増している。

 ■ご馳走ではないが嫌いな人が少ない優秀メニュー

 なぜ唐揚げ専門店が躍進するのか。理由は大きく分けて5つある。

 (1)日々の食生活での喫食頻度が高い

 簡単に言えば「毎日の生活の中でよく食べられるメニュー」ということだ。唐揚げは決してご馳走という位置づけではないが、人気のおかずであり、嫌いな人が少ない。

 単体でもおかずになるし、脇役的な位置づけもこなすことができる。唐揚げ弁当のようにメインを張ることもあれば、ラーメンやおにぎり、サンドイッチとのセット、カレーのトッピング、お酒のつまみなどいろいろな利用シーンで活躍する。

 この背景には、日本において鳥肉は丸鳥でなく若鶏(ブロイラー)の切り身で流通していることが挙げられる。唐揚げでよく使用されるブロイラーは肥育期間が短く、比較的安い食材として流通している。ブラジルなどからの輸入となると他の肉類にはない価格で仕入れることができる。

 ブロイラーは肉自体に味わいはない。だが、柔らかく、唐揚げのようにしっかり味をつければおいしくいただける。

 ブロイラーの導入が始まったのは戦後からだ。大戦後の食糧難を経験した日本の家庭の食卓においては、たいへんありがたい存在であり、唐揚げはカレーなどとともに食卓のおかずに定着して、喫食頻度が高くなった。

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