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欧州木材、米で猛烈な需要 住宅向け輸入の勢い衰えず…国産不足で価格急騰

 米国では低金利や大型住宅の人気の高さ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)下に自宅をリノベーションする意欲が高まったことを背景に、住宅用の木材需要が旺盛で国産の木材価格が急騰している。製材所の在庫が手薄な中、欧州産木材の輸入が大きく伸びており、2020年には前年の3倍近くに拡大し過去最高を記録。今年に入ってもその勢いは衰えていない。

 害虫被害で余剰あり

 米国の材木先物は10日、一時1000ボードフィート=1733.5ドルに上昇し、過去最高値を更新。その後、18日まで7営業日続落したが、顧客に配送される木材は足りず、トラック不足で加工工場が製品を迅速に出荷できないことから、トレーダーは相場がピークに達したと言い難い状況だ。

 木材の価格はここ数週間、連日高値を更新し、1年前の4倍に達している。全米住宅建設業者協会(NAHB)によると、米国の平均的な木材コストはこの1年で3万6000ドル(約390万円)近く上昇した。

 建設需要の勢いが衰えを知らないのは、米製材所の生産が追い付かないことを意味する。そこで、供給者が一時的に目を向けたのが欧州だ。

 米国は依然としてカナダ産林産品の最大の購入国だが、欧州連合(EU)からの輸入は20年に過去最高に達し、19年の3倍近くに上った。欧州各国の中で対米輸出が最も急増したのはスウェーデンで、14倍に跳ね上がった。米農務省(USDA)の海外農務局(FAS)によると、欧州産林産品の輸入は21年1~3月期も前年同期比37%増と堅調を維持している。

 米材木店アトランティック・フォレスト・プロダクツで営業開発部のバイスプレジデントを務めるジェフ・ベルウィック氏は、「他の市場が米国につられている」と指摘。1999年以降、欧州から木材を輸入してきたが、こんなに容易にビジネスできることはないとコメント。通常なら値段は交渉されるが、顧客から「自分の分を手当てしてくれ。そしていくらかかるのか教えてほしい」と言われると話す。

 欧州はキクイムシの蔓延(まんえん)で被害木の大半を今、伐採しなければならず、世界でも木材余剰を抱える数少ない地域となっている。米国の猛烈な需要により、欧州の被害木が予想以上に早く売れる可能性はある。ただ、国際輸送や米国内のトラック運送の制約から、供給網の能力は限定的だ。

 購買力で価格支える

 オーストリアのビンダーホルツ社の米支社(ジョージア州)のトーマス・メンデ最高経営責任者(CEO)は「欧州の生産者は常に最善の市場を探しており、現時点ではまだ米国だ。ただ中国は一段と積極的になり、もっと高額を払うのをいとわないし、インドの買い手もそうだ」と明かす。

 メンデ氏によると、近頃は木材を入手できても数分で売れてしまうことが頻繁にあるという。

 ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州の州有林の木材販売部門を率いるハンス・ヨアヒム・ホルメル氏は、欧州産木材をめぐる中国の需要は「常軌を逸している」ものの、米国の購買力が価格を支える最大の要因だと話す。同氏によると、米国の買い手は品質にそれほど高い期待を持たないだけに、キクイムシの被害に遭った森林の木材に損傷や変色があっても米本土への輸出にうってつけだという。

 北米の主な木材生産地であるカナダのブリティッシュコロンビア地域に拠点を置く木材取引会社BPウッドのポール・ブシャールCEOは、欧州からの輸入を昨秋の通常月の10倍に増やしたという。それでも米国内の旺盛な需要を考えると、配送は1~2カ月遅れる可能性がある。「今の市場は大荒れで、ロックンロールのようにシュールだ」と同CEOは話している。(ブルームバーグ Marcy Nicholson、Daniela Sirtori-Cortina)

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