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遠隔手術実現へ国産ロボ健闘 進む実証実験、5G・4K8K…最新技術を駆使

 国産初の手術支援ロボット「hinotori(ヒノトリ)」の実用化が進んでいる。神戸大がヒノトリによる初の手術を成功させたほか、遠隔地と高速通信回線でつないで手術する実証実験も始まった。第5世代(5G)移動通信システムや4K、8Kといった高精細映像を使えば、将来医師が手術室にいなくても執刀できる日が来るかもしれない。

 コックピットに座り2本のコントローラーを握ると、アームに取り付けた手術器具が自分の指のように動きだした。手術支援ロボットのヒノトリは医療メーカー「メディカロイド」(神戸市)が神戸大と連携し、6年の歳月をかけて開発した。

 コントローラーと足元にある7つのペダルを動かすと、数メートル離れた実際の手術台で4本のアームが同時に動きだす。医師はゴーグルをのぞき込んで3D画像を見ながら執刀する。

 ロボット開発には、川崎重工業が長年培ってきた自動車製造の産業用ロボット技術が生かされている。執刀医は通常の手術よりもメスや内視鏡をさまざまな方向に自由に動かせる。アームの可動域が広く、震えも制御され緻密な動きも可能だ。

 ロボットを使わない手術の場合、患者の周りに医師や助手がいるため、人間の腕や手術器具同士がぶつかり合うこともあるが、最新ロボットはアームの関節が8つあり、干渉しにくくなっている。

 神戸大病院などは10例以上の前立腺がん手術をロボットで成功させた。

 5G技術を使えば、高精細の手術映像が遠く離れた場所でもリアルタイムで見ることができる。コックピットとロボットを高速回線で結べば、執刀医が現場に行かなくても手術ができる可能性がある。経験の浅い医師が手術をする場合、熟練の医師が遠隔で指導したり、難しい箇所は代わりに手術したりできるようになる。

 しかし、これらを実現するためには映像が遅滞なく送受信できることが前提だ。ロボット開発に携わった神戸大の藤沢正人学長は「一瞬でも回線が遅れたり途絶えたりすると、患者の命にかかわることが起きうる。乗り越えるべき課題は多いが、将来はあらゆる手術が遠隔でできる時代がくるかもしれない」と話している。

 ■医療格差解決の一助に

 弘前大の袴田健一教授(消化器外科)の話 新型コロナウイルスの流行で遠隔地にいながら医療を受けることができるオンライン診療の普及が期待されている。手術支援ロボットによる遠隔手術が実現すれば患者が長距離移動で生じる体力的・経済的な負担を減らすことができる。医師不足や地域による医療格差解決の一助にもなる。社会的なニーズが高いため実用化に向け推進していく。

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