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運賃変動制に期待と懸念 タクシーも導入検討、定期代値上がりも

 政府は28日、需要や供給に応じて料金を変動させる「ダイナミックプライシング」の鉄道運賃への導入を検討することを決めた。同制度の導入はタクシー業界も要望しており、タクシーについては国土交通省が年内に実証実験に乗り出す方針だ。実現すれば混雑緩和などの効果が期待される一方、ピーク時に利用せざるを得ない乗客には負担増となる。通勤定期券などの交通費負担が増える可能性がある企業の理解を得られるかも焦点だ。

 JR東日本と西日本は、混雑する通勤時間帯の運賃を上げる代わりにすいている時間帯の運賃を下げることで、時差通勤を促して混雑緩和を図る考えで、増収のための値上げではないと強調している。ただ、混雑時間の通勤が不可欠な人や時差通勤が導入しにくい中小企業にとっては負担増となる懸念がある。

 国交省幹部は「値上げと値下げで(収入面では)中立になるようにするという鉄道会社の方針を担保するための新たな制度の必要性も含めて、今後、検討を進めることになる」と説明する。

 一方、タクシーの変動運賃制については、2月の規制改革推進会議で導入に向けて検討する方針が示された。閑散時間帯に値下げすることで新たな利用客の獲得を図りたいタクシー業界の要望を受けたもので、週末を前にした金曜日の夜間や終電前後などの利用客の多いときには運賃を高く設定し、客が少ない平日の日中などは安くすることが想定される。

 スマートフォンのタクシー配車アプリに運賃を提示し、客が安いと判断した場合に予約するといった利用方法などが考えられる。

 国交省は今年の秋から冬にかけて実証実験を進めた上で、来年の秋以降に同省の通達を改正して制度を整備する方向だ。アプリを利用できない高齢者への対応などを実験を通じて探る。

 ただ、鉄道やバスなど他の交通手段がない地域でタクシーの運賃が高騰すれば、住民の生活を直撃することになる。国交省の担当者は「利用者の声を聞きながら実験結果を把握して制度化を検討する」と話す。(大坪玲央)

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