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日立製作所 アリステア・ドーマー副社長、市場に適した解決策を提供

 日立製作所は再生可能エネルギーの拡大をビジネスチャンスと捉え、HVDC(高圧直流送電)の世界展開を進めている。アリステア・ドーマー副社長に脱炭素事業について書面インタビューした。

 --世界で脱炭素に向けた動きが加速している。日立にとってビジネスチャンスか

 「自社の経済活動と事業を通じた関連ソリューションの提供の両輪で、脱炭素社会の実現に貢献していく。脱炭素は国・地域にかかわらず、世界共通の課題で、グローバルで市場機会が拡大するとみている」

 「例えば、送配電網(パワーグリッド)や車載のオートモーティブシステムはグローバルに、鉄道は欧米、インダストリーはアジア・北米というように、それぞれの事業基盤を持つ地域で、ビジネスチャンスと捉えて展開したい」

 --環境ビジネスで日立の成長を牽引(けんいん)する会社は

 「柱となるのは再生可能エネルギーを支える日立ABBパワーグリッド、環境負荷の低い移動手段を提供する鉄道ビジネスユニット、電気自動車(EV)を支える日立アステモ。これらをデジタル・ITプラットフォーム(PF)の側面から支援するのが日立ヴァンタラを含むサービス&PFビジネスユニットになる」

 --IoT基盤「ルマーダ」との組み合わせは、脱炭素でも大きな武器になるか

 「OT(制御・運用技術)、IT、製品を組み合わせることで、日立独自の脱炭素や省エネなどの高い環境価値のあるソリューションを提供できる」

 --脱炭素事業の課題は

 「グローバルに広がる脱炭素のニーズをどのように把握し、市場に適したソリューションを提供していくかが課題だ。このため、欧州、北米、アジア、日本にビジネスユニット横断の事業戦略チームを組成し、地域ごとのニーズを把握した上で、環境ソリューションを提供するのが直近の課題と考えている」

 --脱炭素に向けて、原子力発電の利用を模索する動きが出ている

 「気候変動問題の観点で、安全性を万全に確保した上での一つの選択肢として社内で議論をしている。政府の方針に沿う形で、エネルギー需要のニーズに対応していきたい」

 --2030年度までに事業所における温室効果ガスのカーボンニュートラル、50年度までにバリューチェーン全体で二酸化炭素排出量80%削減の目標を掲げた

 「30年度の目標達成に向けて省エネに600億円、再生可能エネルギー購入に240億円の投資を見込む。50年度までの80%削減や政府のカーボンニュートラルの実現については社会全体が意識を高め、各国政府、自治体、アカデミア、企業などが総力を挙げて、再エネの普及や脱炭素の技術開発や実装を加速させる必要がある」

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