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「8期連続で最高益」テレワークが普及しても住友不動産のビルが満室御礼であるワケ (1/2ページ)

 住友不動産は直近の決算で、8期連続で最高益を更新した。経済評論家の加谷珪一さんは「住友不動産の主力はオフィス事業。テレワークの普及でオフィス需要そのものは減ったが、住友不動産の所有するような立地のいい物件の需要は減っていない」という--。

 ■好業績を牽引したのは意外にもオフィス事業

 コロナ危機によって日本経済が大打撃を受ける中、住友不動産の業績が好調だ。

 2021年3月期決算ではライバル2社が減益となったが、同社は8期連続の最高益更新(親会社に帰属する当期純利益)を達成した。同社の好業績を牽引したのは意外にも逆風が吹くオフィス事業だが、これはどういうことだろうか。

 住友不動産の2021年3月期決算は、売上高は前年比9.5%減の9174億円、営業利益は前年比6.4%減の2192億円、当期利益は0.3%増の1413億円となった。

 売上高は減っているものの利益が増えているので減収増益ということになる。もっとも、本業のもうけを示す営業利益は前年比マイナスであり、最終損益がプラスとなったのは中国のマンション開発案件の売却という特殊要因があったからである。

 ■テレワークへの移行でオフィス需要は減っている

 しかしながら、三井不動産、三菱地所というライバル2社と比較しても同社の利益率は高く、営業減益幅も少なく済んでいるので、やはり好業績と言って良いだろう。

 コロナ危機によって、不動産市場には大きな逆風が吹いている。全国的にマンション開発が滞っており、販売戸数は大幅に減少した。

 不動産経済研究所の調査によると2020年の首都圏における新築マンション販売戸数は2万7228戸と前年比で12.8%の減少となっている。販売戸数が減れば、その分だけデベロッパーの売上高も減少することになる。

 緊急事態宣言に伴う外出自粛などで商業施設の収益が激減していることに加え、多くの企業がテレワークに移行したことからオフィス需要も減っている。

 一部ではオフィスを解約する動きが出ており、当然のことながら一連の動きは賃貸事業にとってマイナス要因となる。結果的に大手3社は減収となったわけだが、住友不動産への影響が軽微だったのは、意外にもオフィス賃貸事業が好調だったからである。

 ■不動産市場の二極化が進んでいる

 同社の不動産賃貸部門は、ホテルやイベント施設でコロナ危機の影響を受けたものの、主力のオフィスビルは空室率が低く推移したことから増収増益となった。

 2019年に竣工した住友不動産新宿セントラルパークタワーや、住友不動産秋葉原ファーストビルが本格稼働したことで通期の売上高が増えた。今年に入って竣工した住友不動産御茶ノ水ビルも満室稼働になるなど、オフィス事業は好調に推移している。

 同社はライバル2社と比較して、オフィス賃貸事業の比率が高いことが功を奏した形だ。

 テレワークへのシフトによってオフィス需要は減少しているはずなのに、なぜオフィス賃貸事業は好調に推移したのだろうか。実はオフィス賃貸部門は同社に限らずライバル2社もそれなりの業績となっており、総崩れという状況ではない。

 ある種の矛盾が発生しているのは、コロナ危機によって不動産市場の二極化が進んだことが原因である。

 ■大規模なテナント退去はあったようだが…

 コロナ危機によってテレワークが普及し、オフィス需要は確実に減っている。

 実際、富士通のようにコロナ終息後もテレワークを継続し、オフィス面積を半減させる方針を示す企業も出てきた。だが、こうしたオフィス需要の減少は大手3社にとってはそれほど大きな影響を与えない。

 大手が所有するオフィスビルは、基本的に高スペックであり、賃料も相応に高額である。こうした高スペックのビルには多くの企業が入居を希望するが、賃料の関係から入居を諦める企業も多かった。

 ところがコロナ危機でオフィスビル需要が減少したことから、一部の大型ビルではテナント退去が相次いだ。ご多分にもれず、住友不動産でも大規模なテナント退去があったようだ。

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