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新型コロナワクチン職場接種へ準備進む 中小への拡大などに課題

 新型コロナウイルスのワクチン接種を企業の職場などで行う「職域接種」について、政府が21日からの実施を発表したが、一部の企業では既に実施に向けた検討が始まっている。職域接種が進めば、ワクチン接種の加速が期待できる一方、産業医を置いていない中小企業も多い。接種をいち企業にとどめるのでなく、周辺企業や業界に広げられるかが課題となりそうだ。

 ワクチン接種をめぐってはトヨタ自動車が1日、新型コロナウイルスワクチンの職域接種の実施を検討していることを表明。この日、新体制となった経団連も、各企業で職域接種を実施することなどを盛り込んだ緊急提言をまとめた。

 職域接種は、産業医などが社内の診療所で接種することなどが想定されている。産業医が常駐するような大企業などは対応しやすいと思われるが、課題は中小企業だ。

 厚生労働省によると、50人以上の事業所には産業医の選任が義務付けられているが、50人未満の事業所は全国で約395万カ所もあり、約2900万人が働く。50人以上の事業所も、常駐ではなく嘱託の産業医が月に1回程度、来るだけというケースも多い。ワクチン接種をする場所の確保も重要となる。

 こうした中、貸会議室大手TKPは、運営する約250拠点を職域接種の会場として企業に無償提供することを決めた。医療情報サイトを運営するエムスリーと提携し、接種を担う医師らの紹介も同時に行う。

 あいおいニッセイ同和損害保険も、高齢者向けのワクチン接種会場として東京都渋谷区に無償提供している本社の隣接施設「センチュリーホール」(東京・恵比寿)を、地元企業への貸し出しなども含め、職域接種の会場として利用することを検討しているという。

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