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苦境ホテル打開策で対照 日系が縮小、外資系は富裕層狙い攻勢

 ホテル業界の苦境が続いている。新型コロナウイルス流行の長期化で宿泊客数が低迷し、耐え切れずに閉鎖や人員削減の動きも出始めた。東京五輪・パラリンピックや大阪・関西万博開催を見据え、訪日客の増加を取り込むための強気の戦略が裏目に出た形だ。一方で収束後に観光業が再び成長軌道に乗ると想定し、富裕層を狙った外資系などは攻勢を崩していない。

 阪急6カ所閉鎖

 「ホテル事業が厳しくなるのは覚悟していた」と阪急阪神ホールディングス(HD)幹部は悔しさをにじませた。子会社の阪急阪神ホテルズは、大阪新阪急ホテル(大阪市北区)など6ホテルの営業を順次終了。従業員数を800人減らし、2025年度初めに1500人にする。構造改革費用を計上し、阪急阪神HDは21年3月期連結決算で会社設立以来初の最終損益で赤字に転落した。

 コロナ禍で訪日観光や出張需要をメインとしてきたホテルがとりわけ厳しい。ワシントンホテルなどを全国展開する藤田観光は業績悪化を受けて3月から全従業員を対象に基本給を減額。早期希望退職にも300人超が応じ、「社員の間では不満が漏れ始めている」(同社関係者)。

 政府は訪日客の誘致を軸とした観光振興を成長戦略に据えてきた。世界的な観光ブームの後押しもあり、増加傾向の訪日客は19年に3188万人に達した。政府は20年には4000万人を目標に掲げてきたが、コロナ禍で実際には約10分の1にとどまった。

 帝国データバンクによると、20年度の宿泊業者の倒産件数(負債1000万円以上)は前年度比66.7%増の125件。増加率は過去最高だった。

 国内のホテル業界は業績への打撃を補おうとコロナ下での新たなビジネスを模索している。帝国ホテル東京(東京都千代田区)は1カ月単位で割安に長期滞在できるプランを3月から開始。富裕層の都心の生活拠点や第2の仕事場としての需要を見込む。

 高級サービス需要増

 コロナ禍で厳しいホテル業界だが、外資系を中心に高級ホテルの開業は相次いでいる。

 今年3月には外観を建築家の安藤忠雄氏が監修した大阪・心斎橋の外資系高級ホテル「W Osaka(ダブリュー オーサカ)」がオープン。大阪市北区の堂島地区でも24年に外資系高級ホテル「フォーシーズンズホテル」が開業する。いずれも25年の大阪・関西万博開催で見込める訪日客の回復に備えた動きだ。

 経済発展を受けてアジアの富裕層は増加する見通しだが、国内では以前から受け皿となる高級ホテルが不足していた。みずほリサーチ&テクノロジーズ調査部の岡田豊上席主任研究員は「標準的なサービスを展開するホテルは苦しい。得意とする領域や客層を絞ったサービスが生き残りの鍵となる」と指摘した。

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