サービス

「どうして大阪だけ…」 無観客に芸術活動疲弊、苦悩のオーケストラ (2/2ページ)

 「本番となれば、演奏に没入するだけ。配信でも良いものを届ける気持ちに変わりはありません」とコンサートマスターの岩谷祐之さんは断言する。ただ、「それでも客席の反応、拍手がないと寂しいのは事実」とも吐露した。

 「私たちの仕事はお客さまあっての舞台芸術。お客さんに喜んでもらって、評価してもらってこそ存在する意義がある」と専務理事の浜橋元さんは話す。今回は依頼者である奈良県の予算で配信が可能になったものの、オーケストラの自力では配信に踏み切れない。そして、できればやはり、配信と同時に、客席に聴衆も入ってほしいと願っている。「オーケストラ公演の本質は、ひとつの空間で同じものを体験して共感して喜びを得ることではないでしょうか」

 コロナ禍で公演中止などに追い込まれた文化芸術団体などの活動を支えるため、国はいくつかの助成事業を進めている。

 令和2年度の第3次補正予算で設置された「アーツ・フォー・ザ・フューチャー(未来のための文化芸術)!」は、芸術団体や個人に対して最大2500万円を支援する制度だ。

 一方、経産省は動画など海外向けデジタル配信を前提に、キャンセル料を支援する補助金制度を設けた。担当者は「日本のコンテンツの生き残りを目的にしている。配信が足かせになってはいけないので製作費用も出す」と強調する。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus