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徴用工訴訟で日本政府、韓国の対応注視 懸案解決へ警戒緩めず

 徴用工として動員されたと主張する韓国人や遺族が日本製鉄など日本企業16社に賠償を求めた訴訟でソウル中央地裁が請求を却下したことについて、日本政府は肯定的に受け止めてはいるものの、日韓間の懸案解決に向けた韓国政府の対応を注視する構えを崩していない。

 加藤勝信官房長官は7日の記者会見で、日韓関係はいわゆる徴用工訴訟や慰安婦問題などをめぐる韓国政府の対応が原因で、非常に厳しい状況にあると指摘。「懸案の解決のため、韓国が責任を持って対応していくことが重要だ。韓国からの具体的提案を注視している」と述べた。

 外務省幹部は今回の判決について、「敗訴よりは良い。(日本政府に賠償を求めた元慰安婦の請求を却下した)4月の地裁判決に続いて日本としては安心する判決だ」としつつ、「“森”全体を見ないと評価はできない」とクギを刺す。

 徴用工訴訟をめぐっては、韓国最高裁が2018年に日本企業に賠償を命じる判決を出した後、企業の韓国内の資産を差し押さえ、現金化する手続きが続いている。また、今年1月の元慰安婦訴訟判決は日本政府に賠償を命じており、そうした状況が改善されたわけではないからだ。

 一方、経団連の十倉雅和会長は7日の記者会見で、今回の判決を「非常にいいことだ」と評価。「韓国国内の日本の資産が処分されれば、抜き差しならぬ事態に突入してしまう。日本政府にはそういうことにならないよう求め、韓国側にも対応を期待していた」と語った。

 日本製鉄は「いわゆる徴用工問題は、国家間の正式な合意である日韓請求権・経済協力協定で『完全かつ最終的に解決された』ものと理解しており、妥当な司法判断であると受け止めている」とコメントした。(田村龍彦)

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