金融

東証一極集中という「旧石器時代」に挑む…私設取引所の現実 (2/2ページ)

 SBIに警戒感

 それでも証券業界は慎重姿勢を保っている。

 日本証券業協会の鈴木茂晴会長(大和証券グループ本社名誉顧問)は1月の会見で、最良執行に問題があるとしつつも「米国とは環境がかなり違い、同じように日本にあてはまるとは思っていない」「各社がさまざまな要素を総合的に勘案しており、海外と同じではない」と言及。市場関係者の意見を踏まえて検討するよう求めた。

 実際に証券会社の関係者は「PTSは取引高が少なく、価格の流動性がない。投資家は流動性がある方を向いている」とする。一方で、PTSの存在意義は多くが認めており、JPXとの連携に期待する声もある。

 JPX側はどう見ているのか。清田瞭(あきら)最高経営責任者(CEO)は「PTSに対して何らかの形で圧迫しようとかはない」と強調。その上で「東証はグローバルに戦っているのであって、PTSや地方取引所と戦っているわけではない」と距離を置く。

 対する北尾氏は独自に大阪・神戸で国際金融都市構想を進めており、ODXとSBIが出資する大阪堂島商品取引所を中核としている。大阪府では吉村洋文知事を口説いて構想を進めており、行政や地元経済団体でつくる推進組織の中で、今後の取り組み方針のたたき台の文言に「私設取引所の育成」を盛り込ませた。

 ただ、SBIが国際金融都市構想だけでなく、PTSの議論でも存在感を強めることには警戒感が根強い。証券業界からは「1企業だけでつくるのは難しい」という声が上がり、「政府のお墨付きが得られるかが重要」としている。昨年の東証のトラブル以降も、目立ってPTSのシェアが伸びているとはいえない状況なだけに、「投資家の注目も一過性に終わるかもしれない」という懸念が出ている。(岡本祐大)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus