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企業苦心、公表基準バラバラ…「お手盛り」の出勤者削減率

 出勤者の7割削減を掲げる政府の要請を受け、テレワークなどの取り組み状況を公表する企業が増えている。ただ、各社のホームページを見ると「70%削減」などとしつつも「出社が必要な職場は除く」「本社スタッフでは」などのただし書きがつく場合が多い。出勤者数の削減が難しい業種もあり、企業側は独自の基準で線引きし、低くない削減率を示そうと苦心する様子がうかがえる。

 西村康稔経済再生担当相は5月11日、経済3団体に対し企業が出勤者を何割減らしたかなどの状況を公表するよう要請。経済産業省は各社ホームページのリンクをまとめて公表し、6月1日時点で732の企業や団体が掲載されている。

 各社の取り組みを見てみると、住友電気工業は5月10~13日の平均削減率で60%台の大阪、東京の両本社のほか、大阪製作所(26・1%)や伊丹製作所(12・3%)など、製造拠点の実態も公表している。

 ただ、同社会長で関西経済連合会の松本正義会長は「テレワークはやらなくてはいけないが、それほど単純なものではない。業種や企業規模などもある」と語り、製造業や中小企業などでテレワーク導入が難しいとの考えをにじませる。

 実際に企業の公表方法はばらばらだ。高島屋は「店舗従事者を除いた本社スタッフを中心に」集計して71%削減したとホームページで公表。関西電力も50%台で推移する削減率を公表しているが、発電所勤務者などを除いた数値だ。大阪ガスは削減率のほかに、時差勤務や直行直帰した社員も含めた場合の約80%という数字も出している。

 50%のテレワーク実施率を公表するモスフードサービスは、断り書きはないものの店舗勤務の従業員を除いており、実際はもっと低くなるという。「店舗ではテレワークができない。対象外であることは記載しなくても分かると思った」(同社)という。

 経産省は「単純に数字を比較するためではなく、各社の工夫を共有してもらう狙い」と説明するが、企業側はそう受け取っておらず、「テレワーク実施のプレッシャーを感じる」という声が根強い。金融業界では公表の動きは鈍く、「テレワークがなじまない支店まで含めれば厳しい数字になるのは間違いない」(関係者)という。

 パーソル総合研究所の小林祐児上席主任研究員は「公表の基準はばらばらで、実態把握につながるとは考えにくい。そもそも誰が見ているのかという疑問はある」と指摘。一方で、「企業にとっては社内外に方針を示すことで、テレワークを実施するぞと意思を示したり、できないと思っている業務を見直したりするきっかけになりうる」としている。

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