金融

金融緩和策の「縮小」観測加速 日米欧が相次ぎ政策決定会合

 日米欧の中央銀行が来週にかけ相次いで金融政策を議論する会合を開く。最大の注目点は世界経済に大きな影響力を持つ米連邦準備制度理事会(FRB)が、新型コロナウイルス禍からの急速な景気回復とインフレを受け大規模な金融緩和の見直しに動き出すかだ。回復が遅れた日欧はまだ“出口”を模索できる状況にはないが、米国の緩和縮小で金融市場が混乱に陥れば日本経済も影響を受け、対応を迫られる恐れがある。

 「さまざまな指標を精査している段階だ。(時期に言及するのは)早すぎる」

 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は10日、ユーロ圏19カ国の金融政策を議論する理事会後の記者会見で、域内各国の国債などを買い入れて市中に大量のマネーを供給する量的金融緩和の終了時期を問われ、こう指摘した。欧州の感染動向には依然不透明感が強く、会合ではコロナ対策用の資産購入枠を維持するなど緩和策の継続を決めた。

 日本銀行が17、18日に開く金融政策決定会合でも、コロナ対応で導入した企業の資金繰り支援策の期限を9月末から再延長する方向で議論する。ワクチン接種の遅れで景気停滞が長引く中、事業環境の先行きに安心感を与えるのが狙いだ。

 一方、ワクチン普及と巨額の財政出動で景気回復が進む米国は趣が異なる。10日発表された5月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比5・0%とリーマン・ショック直前の2008年8月以来、12年9カ月ぶりの大きさになった。住宅価格や株価も上昇し経済活動の過熱に警戒感が強まる。

 FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)を15、16日に開く。これを前に「今後の会合で資産購入ペースの縮小について協議を始められるだろう」(クラリダ副議長)など量的緩和の出口を探る発言が相次ぐ。市場関係者からは今回を含む夏に向けたFOMCや、米西部ワイオミング州ジャクソンホールで毎年開かれる8月の経済シンポジウムで量的緩和の縮小に関する検討の開始を表明するのではとの観測が広がっている。

 現状ではFRBが今年末にも緩和の縮小を始め、早ければ再来年にもコロナ禍でゼロ%近辺まで下げた政策金利の引き上げに踏み切るとの見方が強い。ただ、金利上昇は企業の設備投資抑制や個人消費の減退といった副作用を伴い、未曽有のカネ余りで高騰した株価の暴落も懸念される。経済の混乱が強まった場合、日銀は出口が遠ざかるだけでなく、逆に緩和策の強化を迫られる恐れすらある。(高久清史)

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