金融

米・EUの報復関税凍結、中国対抗へ協調を優先 「限界」も露呈

 【ワシントン=塩原永久】欧州歴訪中のバイデン米大統領は15日、ブリュッセルで欧州連合(EU)との首脳会談に臨み、米、EU間の航空機紛争で、報復関税を互いに5年間停止することに合意した。背景には、米EUが足並みをそろえ、中国に対し不公正貿易の是正を迫る圧力をかける狙いがある。中国は巨額の補助金を投じて重点産業を育成しており、市場ルールを重視する米EUが「中国の経済モデルがもたらす問題に対抗する模範」(バイデン米大統領)になると訴えている。

 バイデン氏は15日の声明で、EUと「非市場的な行動をとる中国に協力して対抗することで合意した」と指摘。17年近く続いた紛争を棚上げし、「公正な競争や透明性といった価値を共有」する米EUが貿易ルールを主導すると強調した。

 米国とEUは互いに、欧州航空機大手エアバスと米ボーイングへの政府補助金の不当性を訴え、通商紛争に発展。トランプ前米政権下で双方が報復関税を発動し合い、摩擦が激化した。

 バイデン氏は15日、ブリュッセルでのEUとの首脳会談で、報復関税の5年間の凍結で合意。同行した米通商代表部(USTR)のタイ代表は記者団に、米EU関係を「再構築する好機となった」と語り、関係修復をアピールした。

 エアバスとボーイングは航空機製造の世界的な大手だが、中国の国有企業も世界市場を虎視眈々(こしたんたん)と狙う。米EUは今回の合意で、民間機メーカーへの補助金ルールを明確化したといい、米EUの連携は中国に一定の圧力となるのは確かだ。

 ただし合意には、米国が日欧などを対象に2018年に発動した鉄鋼・アルミニウム関税の扱いは含まれなかった。EU側は関税撤廃を強く米政権に望んでいたとされるが、22年の中間選挙を控えるバイデン政権は、国内鉄鋼業界の反発を恐れ、撤廃や凍結に踏み切れなかったとみられる。

 航空機紛争という前政権からの「負の遺産」解消に動いたバイデン政権だが、中国との貿易関係を重視する一部の欧州諸国から、対中圧力の協力を取り付けるうえでは「限界」があることを露呈する結果となったといえる。

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