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三菱電機、台湾半導体大手のTSMCと協業も 杉山社長「生産委託十分あり得る」

 三菱電機がパワー半導体の生産委託で、台湾半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)との協業を検討していることが16日、分かった。TSMCは熊本県で工場の建設が取り沙汰されており、杉山武史社長はフジサンケイビジネスアイの取材に応じ、「当社の工場や研究開発拠点とも近く、生産委託で協業する可能性は十分あり得る」と前向きな姿勢を示した。

 三菱電機は電力を制御するパワー半導体を開発・製造している。脱炭素化の動きが加速しており、省エネ効果があり、電気自動車(EV)の中核部品となるパワー半導体は今後、需要増が見込まれている。同社は今月発表した2025年度までの中期経営計画でパワー半導体を重点成長事業の一つと位置付けている。

 半導体の生産工程は大きく2つに分かれる。同社は熊本県合志市にシリコンウエハー上に回路を形成する「前工程」の主力工場があり、福岡市に組み立てや検査などを行う「後工程」の主力工場と研究開発拠点を持つ。昨年には需要増を見込み、広島県福山市のシャープ工場の土地と建物を取得し、前工程の生産拠点として今秋の稼働を目指している。

 ただ、生産能力の向上には大きな投資が必要となるため、前工程では表面加工の一部を台湾のファウンドリー(受託製造)に委託している。TSMCが熊本県に工場を建設した場合、三菱電機はリスク分散も踏まえ、前工程の表面加工の生産を委託したい考えだ。

 政府や自民党は経済安全保障の観点から半導体の国内生産の強化を訴えている。この方針について、杉山社長は「ある程度の量を日本で生産するのは必要だ。ただ、(在庫が増えないように)ぜひ購入を促進するような仕組みも作ってほしい」と語った。

 経済産業省は4日に半導体の開発や生産体制の強化に向けた新戦略を発表。海外ファウンドリーとの合弁工場の設立などを通じて、国内に生産基盤を確保する方針を明記した。

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