金融

通常国会閉会 衆院選控え景気刺激策待望論も

 政府・与党は通常国会閉会を受け、夏にも大型経済対策の策定と必要な予算を確保する2021年度第1次補正予算案の検討に入る見通しだ。当面の新型コロナウイルス対応は約4兆円が残るコロナ予備費を活用するが、緊急事態宣言の長期化で飲食や宿泊などの対面サービス業を中心に経済の低迷が続いており、今秋にも実施する衆院解散・総選挙を控え景気刺激策の待望論が強まっている。

 21年度予算に計上したコロナ予備費は5兆円。これまでに宣言再発令に伴う飲食店などの営業時間短縮や休業要請に対する協力金、ワクチンの確保などで約1兆円が既に取り崩されている。政府は感染“第5波”の発生時などで必要な対策は残るコロナ予備費でも対応可能として、現時点での補正予算編成に否定的だ。

 ただ、与党内では困窮者や事業者への支援拡充などで「積極的な財政出動を行うべきだ」といった声は根強い。野党からも30兆円規模の対策を求める声が出ている。景気回復の切り札と期待されるワクチン接種が進みつつあるとはいえ、大和証券の末広徹シニアエコノミストは「補正予算で飲食・サービス業へのセーフティーネット拡充は避けられない状況」と指摘する。

 検討される対策は、コロナ禍に苦しむ業種の業態転換支援が軸となりそうだ。ワクチン接種の進展でコロナ禍の収束が見通せれば、観光支援策「Go Toトラベル」の再開も視野に入る。脱炭素化やデジタル化など18日閣議決定する新しい成長戦略の施策も一部盛り込まれる可能性がある。

 ただ、通常国会が閉会したため、衆院選前に補正予算案を成立させるには臨時国会への提出が不可欠だ。末広氏は「秋の臨時国会前半で補正予算案を成立させてから、総選挙に打って出る流れになるのではないか」と予測している。(永田岳彦)

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