開発物語

第一三共ヘルスケア「ロキソニンSプレミアム」(2)

 ≪TEAM≫

 ■ラインアップの豊富さ 人材育成に寄与

 第一三共ヘルスケアは、第一三共グループのなかで、薬局などで購入できる一般用医薬品(OTC薬品)のほか、スキンケア製品なども扱う。「ロキソニンS」や「ガスター10」などのスイッチOTC薬だけでなく、「ルル」や「マキロン」といったロングセラーブランドも持つ。こうしたラインアップの豊富さが、研究員の経験の場を広げ、人材育成にもつながっている。

 「ロキソニンSプレミアム」を開発した製剤研究第一グループでは内服固形剤を担当しており、入社5年目の吉田寛恵さんを中心に新商品の発売に向け研究に取り組む一方で、主任研究員の加茂倫有さんはロキソニンS内服薬シリーズの統括のほか、「第一三共胃腸薬」の製剤研究なども担当。中長期的な研究戦略の立案推進なども行う。副主任研究員の望月裕介さんは、シミ対策薬の「トランシーノ」やルルの開発研究にも関わっている。

 「普段はそれぞれの仕事をやっているが、いざというときにはチーム一丸で互いの苦手分野をカバーし合える」と、加茂さんは胸を張る。加茂さんは第一三共からの転籍組で、医療用医薬品研究の経験が豊富だ。チーム最古参の望月さんは一般用医薬品専門の製薬会社からの中途入社組で、錠剤を覆う糖衣技術や生産工程などにも詳しい。吉田さんは顆粒(かりゅう)剤を研究していた。

 望月さんは「製薬研究には意外とアナログな部分も多く、個人が持っている勘と経験が重要になる。結果の報告書だけでなく、試行錯誤の部分を伝えていきたい」と話す。新商品開発を担う吉田さんも「それぞれ違った視点でアドバイスをくれるので、アイデアが倍になる。困ったときは2人を巻き込みながら仕事をしている」と、全幅の信頼を寄せる。

 「痛みに悩む人が薬局で簡単に選べるよう、安心して飲める薬の選択肢を増やしたい」と吉田さん。研究者の熱い思いは、ノウハウとともに次の世代へと引き継がれている。

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 ≪MARKET≫

 ■コロナ禍で高まる高機能頭痛薬ニーズ

 解熱鎮痛薬市場は年々拡大している。新型コロナウイルスの感染拡大によって生活様式が大きく変化し、スマートフォンやパソコンを見る時間が増えたことや、マスクによる呼吸のしにくさなどから頭痛に悩む人も増えており、特に高機能製品が好調だ。

 富士経済の調査によると、昨年の市場規模は357億8000万円(見込み)で、インバウンド需要の減少を受けて前年比3.4%減と縮小したものの、2011年比では8.7%の増加だった。特に、購入時に薬剤師による説明が必要な高機能製品の第1類医薬品は前年比5.0%増の64億5000万円だった。

 第一三共ヘルスケアが毎年実施しているアンケートでは昨年、頭痛で解熱鎮痛薬を購入した人は前年より4.0ポイント高い35.0%。テレワークの普及や手続きのオンライン化が進んだことでパソコンやスマホの画面を見ることが増えたことや、運動不足に加え、マスクの長時間着用などを理由に挙げた人が多かった。コロナ禍の生活変化が要因となったことがうかがえる。

 新たな頭痛の種が増えたことで、高機能製品へのニーズはさらに高まるとみられる。

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 ≪FROM WRITER≫

 日本では古くから「我慢は美徳」とされてきた。鎮痛薬の副作用への恐れもあり、痛みはできるだけ我慢するという人が多い。

 医療機関や製薬会社では近年、この誤った認識を変えようと訴えている。痛みは炎症を知らせる信号だが、放置すると悪化することもある。運動不足や鬱症状などにもつながる。症状や副作用リスクを踏まえた早期の対処が重要だ。痛みを抑えれば、集中力や作業効率も高まる。

 高機能鎮痛薬はオンラインでも購入可能となり、ますます身近になった。患者が薬を正しく恐れ、使うことができるよう、丁寧な情報発信が求められる。(池田美緒)

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