金融

迫る米国の緩和縮小 日銀、マイナス金利解除の好機に

 新型コロナウイルス禍の経済を支えてきた主要中央銀行の金融政策が転機を迎えつつある。米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、利上げ開始時期を従来見通しから1年前倒しした。2023年に2回の利上げを見込む。23年は日本銀行にとって、4月に黒田東彦総裁が任期満了を迎える節目と重なる。9年目に突入した「異次元の金融緩和」を出口に向かわせる好機となりそうだ。

 「FRBの利上げを追い風に、日銀はゼロ金利の解除をしやすくなる」。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「ポスト黒田」による金融政策正常化に期待する。

 FRBが前回15年12月に利上げした際、日銀はまだ2%の物価上昇目標の達成への闘志を燃やしており、日米の金融政策は逆方向を向いていた。だが、当時と今では事情が異なる。

 日銀は今年3月、金融緩和の「点検」を実施。より持続的で効果的な運営に向け、長期金利の変動の自由度を高めるなど、政策を修正した。

 既に株価指数に連動する上場投資信託(ETF)の買い入れを減らすなど、事実上の緩和縮小も始めている。物価が2%に届かないうちに、将来の出口に備えた布石を打った形だ。

 こうした中、日銀の金融政策の正常化に向けた次のステップとして焦点となるのが、短期金利をマイナス0・1%に抑える「マイナス金利」の解除(利上げ)だ。

 米国の政策金利が変わらない中での解除は円高リスクを伴う。米ドルに比べて日本円の魅力が高まり、円買いが進む可能性があるからだ。FRBの利上げで米国金利の上昇傾向が続く時期であれば、そうした懸念は低減する。

 とはいえ、政策転換に向けて、主要中銀は市場との対話に慎重な姿勢が求められる。先進国が急速な利上げをすると、新興国からの資金流出につながりかねないからだ。

 日銀にはさらに、コロナ禍に苦しむ国内の家計や企業への目配りも欠かせない。「コロナが収束した後も2%の目標実現を目指して金融緩和は当分続ける」。18日の記者会見で、黒田総裁は何度も金融緩和継続の重要性を繰り返した。

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