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東京五輪「観客あり」 観光業界は歓迎も…効果は限定的との見方

 東京五輪が条件付きながら観客を入れて開催されることが決まり、東京都内を中心とした観光関連業界からはおおむね歓迎の声が上がっている。ただ、観客の多くは近県在住との試算があるほか、新型コロナウイルス感染防止のため、自宅と会場の間で“寄り道”をしないことが奨励されていることもあり、波及効果は限定的との見方が強い。

 「安全安心を意識した形での有観客開催が決定したことは大変うれしく思う」

 都内をはじめ多くのホテルを展開する「プリンスホテル」(東京)の広報担当者は決定を前向きに受け止める。一方、客足増など期待される効果の有無については回答を避けた。

 老舗として知られる京王プラザホテル(同)によると、現時点で予約増の動きは出ていないといい、状況を見極めている段階だ。広報担当者は「観客に宿泊を必要としない近県の方が多ければ効果は薄くなる」と指摘する。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会の試算によると、首都圏の1都3県にある競技会場のチケット所有者のうち、同圏内在住者が7割に上るとされる。

 観光バスを運営する「はとバス」(同)の担当者は「大会開催に向けた観光コースの設定を検討中」としながらも、利用客には地方からの観光客が多いことなどから「(設定は)難しいのではないか」と漏らす。

 さらに自宅と会場間の「直行直帰」が求められていることもあり、都内有数の観光地・浅草で土産物店を営む男性(63)は「客足が少しでも戻ればうれしいけど、あまり売り上げにはつながらないと思う」と語った。

 大会期間中の首都圏を避けて国内の他地域に旅行先を変更する動きも予想される。しかし、兵庫県にある人気観光地の城崎温泉では「加盟施設で7月の予約がぽつぽつ入ってきた程度」(旅館協同組合担当者)と需要の伸びは鈍いという。

 そうした中、京都市のホテル関係者は「五輪を無事に終えられれば、日本の感染対策に対する信頼につながる」と前向きに捉え、大会後に期待をつないだ。

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