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「輝く日産を取り戻したい」日産自動車の内田誠社長、新型車でブランド復権へ 

 「輝く日産を取り戻したい」。日産自動車の内田誠社長は22日の定時株主総会で、こう繰り返し強調した。日産は、新型コロナウイルス禍からの回復が他社と比べて遅れ、世界的な半導体不足の影響による減産などのリスクを抱えるが、新型車の投入でブランド復権を狙う。脱炭素社会の実現に向けて、独自技術「e-POWER(イーパワー)」を搭載したハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)で電動化への対応も進める。

 日産は、元会長のカルロス・ゴーン被告が進めた拡大路線が失敗し、収益力が低下。昨年5月に発表した中期経営計画「日産ネクスト」に沿い、インドネシア工場の閉鎖など固定費削減を進め、2021年3月期は計画の3000億円を超える3500億円以上を削減した。

 ただ、22年3月期の目標とする営業利益率2%の達成は厳しい。コロナ禍からの販売回復を見込むものの、半導体不足による減産規模は年間25万台規模に上る見通しだ。原材料価格の高騰などもマイナス要因となり、営業損益はゼロ(前期は1506億円の赤字)を予想する。

 こうした厳しい状況の中、業績向上の鍵を握るのが新型車だ。

 日産ネクストでは1年半で12モデルの新型車を投入する計画を掲げ、日本国内では昨年末、e-POWERを全車に搭載し、全面改良した人気小型車「ノート」を発売した。

 年明けから自動車業界に広がった半導体不足による生産への影響を受けながらも、今秋には「ノート」の上級タイプ「ノート オーラ」、冬にはスポーツ用多目的車(SUV)タイプのEV「アリア」を投入する。

 内田氏は「新しい商品で企業価値を高めたい」とし、「日本で出したブランド力が各国での事業力を伸ばしていく」と語った。

 24年3月期には営業利益率を5%とする目標を掲げる。30年代早期には日本、米国、欧州、中国といった主要市場に投入する新型車の全てを電動化したい考えだ。(宇野貴文)

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