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楽天、周波数再編で獲得熱望「プラチナバンド」 大手3社は難色 (2/2ページ)

 ソフトバンクは、プラチナバンドの割り当て前後ですでに回線数は2500万超で市場シェアも2割を超えていた。平成20年に日本で初めて米アップルのiPhoneを発売し実質負担0円で普及させるなど、現在は禁止されている手法も駆使し、大手の牙城に切り込んできた。

 5G時代に輝くか

 今後数年間で消費者が最も求めるのは、第5世代(5G)移動通信システムの普及だ。5G時代もプラチナバンドが今と変わらぬ輝きを保つとはかぎらない。総務省はプラチナバンドの5Gへの転用も認めているが、自動運転などを実現する5G技術に対応する通信速度はプラチナバンドでは出ず、名ばかりの「なんちゃって5G」となる。

 国内で5G向けの周波数としては3.7ギガヘルツ帯、4.5ギガヘルツ帯、28ギガヘルツ帯が使われており、総務省は令和元年に大手3社と楽天に割り当てている。

 5Gでの競争は、楽天と大手3社で横一線。先頭に立つには、28ギガヘルツ帯などの高い周波数エリアを地道に増やすしかない。最新の機器を使って設備投資を割安にできる楽天にも十分勝機はある。楽天には、プラチナバンドにこだわった周波数再編よりも、5G時代を主導する新サービスを開拓していく役割を期待したい。

 目立つ「電波オークション」

 企業への周波数割り当てへの注目が高まっているのは、自動運転やあらゆるデジタル機器が通信でつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)が今後の社会基盤を方向づけていくためだ。

 海外では、周波数帯の利用権を競争入札にかける「電波オークション」の導入が目立つ。

 一方、総務省の有識者会議が5月にまとめた報告書骨子では、基地局エリアの拡大など技術的な側面だけでなく、より多くの利用者が安価に多様なサービスを受けられるかが、企業の評価基準になると明記された。

 短期的な市場原理に偏らない電波の有効活用を模索する機運が高まっているともいえ、5Gの周波数割り当てはこうした考え方が先行して取り入れられる可能性がある。(高木克聡)

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