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旧態依然とした経営では生き残れない、就活真っ只中に思う大学の甘い認識 (1/2ページ)

 新型コロナウイルス感染症の影響は、現在真っ最中の来春卒業予定の大学生の就職活動に影を落としている。こうした中、BリーグやTリーグなどプロリーグの誕生の影響、さらには海外でのスポーツビジネス関連の話題が増加していることも影響してか、志望としてスポーツ関連の仕事を目指す学生が増えてきているようだ。リクルートの進学情報サイト「スタディサプリ」によると、スポーツマネジメントを学べる場がある私立大学は全国100校前後にも上る。(フリーランスプランナー・今昌司)

 しかし、スポーツ関連を含むサービス産業全般では間違いなく、多くの企業がコロナ禍による大きなダメージを受けており、学生たちには厳しい就職活動が続くであろう。昨年の内定解禁を迎えた10月1日時点での大学生の就職内定率は、5年ぶりに70%を下回っており、コロナ禍の影響を真正面から受けているサービス産業関連では、この数値はさらに下振れすることは想像にたやすい。

 学生は求人の10倍も

 さまざまな識者の予測によれば、この状況は数年間は尾を引くらしい。そこで、大学生に求められるのは、夢や希望を追う熱意ではなく、課題を捉えて解決し得るような力。もちろん、そうした力はコロナ禍以前にも求められてはいた。だが、企業の業態自体に大きな変革を求められる世の中となり、旧態依然とした経営では生き残れない。新規の戦力として学生に求められる人材像も少なからず変わってくるのは当然である。

 スポーツ関連業界を目指している学生の中には、希望や熱意だけで将来を夢見ている学生が多い。その傾向は、人材不足といわれているスポーツ関連業界には決して喜ばしいものではなく、逆に、夢が現実にならないジレンマを拡大するだけの結果となり、将来の選択に迷っている学生をいたずらに増やしている。

 最大の原因はスポーツを学べることをうたい学生を集めている大学にある。スポーツマネジメントを学べる学部などの定員を1校100人としても、1万人という数になる。その1割の数ですら、新卒大学生に対する求人ニーズと比べれば、数倍、十倍以上にもなるかもしれない。そうした学生にとって、学びで大切なのは、スポーツ関連業界にある仕事について具体的に、実務的に知識を得ることだと考える。

 その知識を得られてこそ、目指す先も明確となり、何を学ぶ必要があるのか理解されることになるからだ。スタディサプリの中で使われている言葉の一つに「スポーツプロデューサー」がある。スポーツをプロデュースする人、といえば言葉の意味としては正解かもしれないが、ほとんどの人はその実像が全くつかめないだろう。「スポーツディレクター」も同じであるし、カタカナ名ならばそれらしく聞こえるだけで、実際には何も仕事の実態を表してはいない。

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