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競合に見劣り、業績批判噴出 パナソニックの定時株主総会

 パナソニックの定時株主総会では、ソニーグループ、シャープといった競合他社に比べ低迷する業績を批判する声が株主から上がった。同日付で就任した楠見雄規社長は持ち株会社制への移行で各事業の競争力を強化するが、厳しいシェア争いを制することができるかや、巨額投資を回収できるかなど課題の多い船出となった。

 「ソニーは過去最高益を出しているのに、パナソニックは売り上げが30年前と変わらない」

 パナソニックの総会に出席した株主は質疑応答でこう指摘し、会社側が提案した社外取締役の報酬額の上限を引き上げる議案を批判した。同日付の社長退任前に議長を務めた津賀一宏氏は「社外取締役には優秀な人に来てもらって経営を変えていく。長期的な視点で支援してほしい」と理解を求めた。

 パナソニックの2021年3月期連結決算は売上高が前期比11%減の6兆6988億円と25年ぶりに7兆円を下回った。新型コロナウイルスの感染拡大で自動車向けや航空機向けの製品販売が打撃を受けたからだ。

 対照的にソニーグループは過去最高の最終利益を計上。巣ごもり需要を取り込み、ゲーム事業が好調だった。シャープも巣ごもり需要で家電販売が拡大したほか、テレワークの普及でパソコン向けディスプレー販売が堅調で、業績を伸ばした。

 今後、パナソニックは米電気自動車大手テスラ向け車載電池の量産・開発や、コロナ禍で関心が高まる空調事業の拡大に注力する。ただ、テスラ向けでは中国や韓国のメーカー、空調事業ではダイキン工業、シャープなど強力な競合他社がおり、パナソニックは厳しいシェア争いに直面することになる。

 またパナソニックは、デジタル化などを通じて顧客企業の供給網(サプライチェーン)の業務革新を支援するサービスの展開にも乗り出した。このサービスを手がける米ソフトウエア会社「ブルーヨンダー」を完全子会社化するため71億ドル(約7800億円)もの資金を投じており、回収できるかが当面の課題となる。

 総会で楠見氏は今後の経営戦略として、来年4月の持ち株会社制への移行で会社を8つの事業会社などに分け、権限を委譲した上で経営の効率化や迅速化を進めるとした。その上で「今後2年間は全事業で攻めるべき領域を定め、競争力を徹底的に高めていく」と力を込めた。 (山本考志)

■パナソニックが各分野で注力する事業 【衛生】 ▼除菌・ウイルス抑制効果のある帯電微粒子水(ナノイーX) を搭載した空調機器の展開 【非接触】 ▼顔認証技術により手を触れずに個人認証ができる機器やシス テム 【省人化】 ▼スマートタウンなどでロボットを活用した無人搬送サービス 【環境】 ▼米電気自動車(EV)大手テスラ向けの車載電池の増産・開発 【供給網】 ▼顧客企業の原材料調達や製造、物流などの情報をデジタル化 し、効率的に管理・運営 

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