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国土交通白書で警鐘 「地域の存続困難に」コロナ禍、人口減に拍車

 政府は25日、令和3年版国土交通白書を閣議決定した。新型コロナウイルス禍により、地方を中心にバスなどの公共交通に加え、病院や銀行、コンビニエンスストアといった地域住民の生活を支えるサービスの維持困難化が進んだと分析。サービス低下は地域の人口減少に拍車をかけ、最終的に「地域の持続自体が困難になる」と警鐘を鳴らす。

 白書では、新型コロナと災害の激甚化・頻発化により、加速した社会の変化や顕在化した課題を挙げた。

 新型コロナの影響では、人々の外出が抑制されたことで、航空業界や観光業界が深刻な状況となったことを説明。とりわけ人口減少が進む地方は、路線バスなど地域の公共交通が苦境に立たされ、住民が「生活の足」を失いかねない状況にあるとされる。

 地域の公共交通が衰退すれば、住民の大きなアクセス手段が失われ、医療や福祉、買い物など生活に必要なサービスの維持も、利用者減で一層難しくなる。

 国交省などの集計によると、2050(令和32)年までに全国の市区町村のうち人口が半数未満となるのは、全体の約3割に上る558市町村とされる。

 同省は病院、銀行、コンビニの運営存続に当たって必要とされる人口をそれぞれ設定し、同年までに設定人口を下回って1施設すら存続が困難になる可能性がある市区町村の割合を試算した。その結果、病院66%(平成27年実績は53%)▽銀行42%(同26%)▽コンビニ20%(同7%)-と状況は悪化の一途をたどる。

 白書では対策として、自家用車による有償運送や福祉輸送といった地域の輸送資源の総動員などで、「持続可能な旅客運送サービスの確保」を推進。その上で生活しやすいコンパクトな街づくりや二地域居住などを進める方針を示した。

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