話題・その他

東芝、異例の再任否決 見通しの甘さ露呈

 東芝が25日に開いた株主総会は、永山治取締役会議長ら2人の取締役再任が否決されるという、日本企業では極めて異例な結果となった。取締役選任は、会社にとって最も重要な決定事項の一つで、経営陣への信任投票でもある。大事な局面で見通しの甘さを露呈したことは、同社と世間の考え方に依然としてずれがあり、内輪の論理を優先する「悪弊」を改善できていない事実を示している。

 「客観的で透明性のある徹底した真因、真相の究明を行い、責任の所在を明確化する」

 永山氏は25日の総会で、昨年7月の総会運営が公正だったとはいえないとする外部弁護士の調査結果について、さらなる真相究明や再発防止に全力を尽くす考えを強調した。だが再任が否決されたことで、自らが実行することは不可能になった。

 株主の多くは、永山氏が総会運営に問題はなかったとした社内調査の結果に異議を唱えなかったことや、指名委員長として調査に当たった監査委員会の委員を取締役候補に残したことを問題視した。もう1人の小林伸行氏は監査委員としての責任を問われた。

 永山氏が否決される可能性は総会前からささやかれていた。物言う株主では、東芝株の7・2%を保有する第2位株主の資産運用会社、3Dインベストメント・パートナーズ(シンガポール)が即時辞任を要求。株主への影響力が大きい議決権行使助言会社の2社も反対を推奨していた。

 しかし東芝は、監査委員長として社内調査を主導した太田順司氏ら2人こそ13日に候補から除外したものの、永山氏と小林氏については残した。永山氏は14日の記者会見で「果たさないといけない責任(の全う)に集中したい」と続投に意欲をみせたが、株主は責任追及や企業統治(ガバナンス)改善の意思が薄いと受け止めた。今回の結果を受けて、3Dは「極めて画期的なもの」と高く評価するコメントを発表した。

 企業の持続的成長を後押しする狙いから、機関投資家に企業統治の監視責任を課したり、議決権行使の理由の開示を促したりする行動指針「スチュワードシップ・コード」が定着する中、経営への監視の目を光らせているのは物言う株主だけではなくなっている。永山氏の再任には、ノルウェーの公的年金を運用する銀行なども反対していた。綱川智社長は株主との対話重視を強調するが、コミュニケーションがしっかりしていれば読み違えることはなかったはずだ。井田通人)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus