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「Go To トラベル」歓迎の一方で疑問の声 実施で見えた重い事務負担

 新型コロナウイルス感染拡大で激減した各地の旅行客は政府の観光支援事業「Go To トラベル」で一時的に戻った。しかし、喜びもつかの間、事業停止で「客が消えた」。再開を望む声は根強いが、重い事務負担への批判や事業の効果に否定的な意見も。見えない先行きに、関連業者は不安を募らせる。

 「昨年は絶大な恩恵」

 5月の夜、日本一の源泉数を誇る大分県別府市ではシンボルタワーが光り輝く脇で、廃業した老舗ホテル「三泉閣」が物寂しくたたずんでいた。

 市旅館ホテル組合連合会によると、加盟施設の宿泊者数は昨年5月、前年同月比9割減まで落ち込んだ。事業が7月に始まり、当初対象外だった東京が加わった10月から客足は急回復、11月には前年並みに持ち直した。

 温泉旅館「両築別邸」では満室になる日も多く、11月の売り上げは過去最高に。担当者は「恩恵は絶大だった」と振り返る。市観光協会の専務理事、安波照夫さんも「需要喚起の効果に衝撃を受けた」と話す。

 ただ東京追加の10月以降、感染の拡大傾向が強まり、事業は縮小を余儀なくされる。札幌、大阪両市を目的地とする割引の停止や東京発着旅行の自粛要請などを重ね、12月末に全面停止した。

 「『光が見えた』と思ったが、線香花火のように客が消えた」と安波さん。土産物店や飲食店が並ぶ繁華街は閑散とし、居酒屋の男性店主は「早く感染が落ち着き、事業を再開して」と訴える。

 今は休廃業が相次ぐ

 一方、旅館「みゆき屋」を営む伊東一美さんは「事業が止まってほっとしている」と打ち明ける。地域共通クーポンの配布や客からの問い合わせ、売上報告書の作成など作業が次々に膨らんだといい、「小さな宿や、パソコンに慣れてない人も扱いやすく改良してほしい」と注文する。

 一部では「再開しなくてもいい」との声も。1泊3000~5000円の客室が多い宿泊施設の従業員は「支援金の受取額が少ないため、客は増えなかった。うちにはメリットがない」と言い切った。

 東京都は2カ月余りしか事業の対象になっておらず、恩恵は乏しい。以前は訪日客や修学旅行の生徒らでごった返していた浅草。今はシャッターを閉めた店舗が目立つ。

 小物入れなどを扱う土産店の売り上げはコロナ禍前に比べ8割減が続く。店主は「『GoTo』で客は瞬間的に戻ったが、今は休廃業する店が相次いでいる。ひどい状況だ」と肩を落とす。人形焼き屋を営む飯田和男さんは語気を強めた。「感染は減らず、事業再開を待っていられない。苦しい店の支援にお金を回して」

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