金融

市場関係者も「まさか否決されるとは」 株主総会ピーク、高まる投資家の存在感

 3月期決算企業の定時株主総会が29日、ピークを迎えたが、近年の総会では、「物言う株主」を含めた投資家の存在感が増している。企業の変革が求められる中、持続的成長のために株主がこれまで以上に声を上げ始めていることが背景にある。東芝の株主総会では、会社が提案した取締役選任案が否決される異例の事態も起きており、足元をすくわれないためにも、企業には積極的な株主との対話や情報開示の姿勢が求められている。

 「候補者番号2番と4番については議決権の過半数の賛成を得られず、否決されました」。25日に行われた東芝の株主総会では、会社が提案した取締役選任案のうち取締役会議長の永山治氏ら2人が否決された。

 今月10日に公表された外部弁護士による調査報告書は、東芝と経済産業省が株主側に圧力をかけていたと指摘。ある程度の波乱は予想されたが、市場関係者の間にも「まさか否決されるとは」と驚きが広がった。

 日本で会社提案が否決されるような例は過去にほとんどない。ただ、令和元年にはLIXIL(リクシル)グループで会社が提案した取締役選任案の一部が否決された例があるほか、不祥事があった企業では、会社提案の賛成率が低下する傾向がみられるなど、株主の企業を見る目が厳しくなっているのは事実だ。

 背景には金融庁などが企業の持続的成長を後押しするため、保険会社などの機関投資家に企業統治の監督責任を課すなど、株主と企業の建設的な対話を促してきた経緯がある。

 こうした中で株主提案の数も増加。大和総研によると、20年前は株主提案を受ける企業は10社程度だったが、近年は50~60社で推移。提案内容も、以前は電力会社に反原発を掲げる株主が“政治的”に行っていたものが大半だったが、近年は提案内容も多岐にわたる。かつては目先の利益ばかりを追求すると批判された物言う株主も、企業の持続的成長の観点から提案するようになっており、今年は気候変動対策の強化を求める提案が目立った。

 株主の声の高まりは自由な経営には足かせになることもあるが、企業の成長を望むのは株主も同じだ。足元の業績が悪くても、株主に将来の成長戦略を丁寧に説明することで反対から賛成に回ることはある。大和総研の鈴木裕主席研究員も「情報開示や積極的な対話など機関投資家対策がこれまでよりも重要になってきている」と話している。(蕎麦谷里志)

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