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携帯料金の値下げ効果4300億円 総務省など調査、各社にさらなる競争促す

 総務省と消費者庁は29日、携帯電話料金の引き下げに向けてそれぞれの大臣をトップとした会合を開き、政府主導の値下げによる国民負担の軽減効果が4300億円に上ったとする試算を公表した。ただ、スマートフォンの価格が高止まりし、端末購入費を含む負担は大きく変わっていないとの指摘もあり、携帯電話各社にさらなる競争を促す。販売代理店の強引な勧誘を是正するルール整備や格安スマホ事業者への優遇策などで、実質的な負担軽減につなげる考えだ。

 両大臣による会合は昨年12月の設立。総務省、公正取引委員会、消費者庁の3機関が料金低廉化の現状と課題を整理した。

 今年3月に大手3社が割安のオンライン専用プランを開始したのと前後して、楽天モバイルや格安事業者も相次いで値下げを実施。総務省の調査では、各社の新料金プランの契約数は5月末までで計1570万件に達した。個人契約回線の約1割が乗り換えた計算で、今後、乗り換え希望者の移行が進めば、負担軽減効果は約1兆円に拡大するという。

 ただ、一連の値下げでは大手3社のオンライン専用プランに人気が集中。3社ともほぼ横並びのサービス内容で、事業者をまたぐ乗り換えは進んでいない。通信品質で劣る格安事業者は低価格帯での競争に注力しており、第5世代(5G)移動通信システムで需要が高まる大容量プランの価格競争は起きなかった。

 総務省は一部のプランに強引に誘導するような販売店の営業を禁止するルールづくりや、格安事業者が大手から回線を借りる利用料の引き下げなどで、サービスの多様化を進める。健全な市場競争の活性化で料金値下げが持続する環境を整備する狙いだ。武田良太総務相は「消費者にとって合理的な選択肢ができるように、取り組みを進めていく」と強調した。

 携帯電話の料金が下がった一方で、令和元年の法改正によって端末代金の値下げが制限され、負担総額は大きく軽減していない。割安な端末の普及など、メーカーも巻き込んだ競争活性化策が求められる。

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