テクノロジー

「富岳4冠」はSDGsに貢献できる証し 理研と富士通が会見

 理化学研究所(理研)と富士通は29日、共同開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が、スパコンの性能を競う4つの世界ランキングで首位となったことを受けて、合同で記者会見を行った。4冠は富岳が社会課題の解決に貢献できるスパコンである証しだと自信を示した。

 理研計算科学研究センターの松岡聡センター長は「3期連続で4冠を達成することができた。2位を大幅に引き離して首位を堅持した」と話した。

 富岳は、スパコンの総合的な計算性能を測る「TOP500」のほか、シミュレーション(模擬実験)などで使う実用的な計算や人工知能(AI)、ビッグデータの処理性能を競う分野で首位となった。それぞれのランキングで2位につけた米中のスパコンに対し、約1・7~5・5倍の性能差を見せつけた。

 3期連続の4冠に関し、松岡氏は「一部のベンチマーク(ランキングの指標)だけ性能が良くて、あとは性能が低いというのでは意味がない」と指摘する。

 富岳は、SDGs(持続可能な開発目標)を含め、環境やエネルギー、ライフサイエンス、産業競争力の強化といった社会課題に貢献するスパコンとして、これらの分野で使われるソフトウエアの性能が最大限に引き出されるよう設計された。4つのランキングは、こうしたソフトウエア性能の代替指標であり、そこで好成績を収め続けられるのは、目指してきた設計が成功し、世界的な課題に貢献できることを示しているという。

 共同開発した富士通の新庄直樹理事は「理研とともに達成してきた成果がなかなか破られるものではないことを示した結果だ。富岳を活用した社会課題解決への取り組みを今後も実施していく」と話した。

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