人工知能(AI)を活用してさまざまな問い合わせに自動回答するAIチャットボット関連事業を手掛けるマインドシフト(東京都中央区)が、問い合わせ窓口やコールセンター業務の省力化支援を強化している。
同社のAIチャットボットには、文書同士の類似度をもとに多様なフォーマットの文書群から横断的な検索ができる「類似文書検索エンジン」に加え、質問者との対話の中から求める情報を推測して提示する「推論エンジン」を搭載。顧客や社内からの問い合わせに短時間で適切に回答することが可能で、問い合わせ対応業務の大幅な効率化を実現する。
質問される言葉に対し、過去の傾向なども加味しながらフリーワード検索するため、言葉が不正確でも目的の情報にたどり着く。例えば「補助金」や「助成金」「協力金」といった名称を間違えて質問しても、質問者が求めている情報を類推して検索する。このため、通常のチャットボットのようにシナリオを作成する必要もない。
人手を介さないチャットボットは24時間365日運用できる。大規模なコールセンターはもちろん、エクセルデータを利用して簡単に導入できることから、人手不足に苦しむ中小企業での利用も可能とした。
併せて同社は、チャットボットが顧客や社内からの質問に対応する過程で得られるデータも分析し、顧客などが知りたがっている情報を頻度や回数、内容からも把握。情報を発信する窓口やホームページ、掲示板の質的向上に結び付けるサービスも展開する。
同社のAIチャットボットは、既に一部の自治体や保険会社などで運用が始まっているほか、医療ビッグデータを活用した健康リスク予測システム「AIヘルスフォーキャスト」にも活用されている。
折しもコロナ禍で電話やインターネットを経由した問い合わせが増えている。このため、同社はこのシステムを問い合わせの窓口業務の効率化、省力化支援システムとして展開。同時に、顧客のニーズ把握やさまざまな反響からより的確な情報発信に変革する支援事業などにも取り組む考えだ。