日本損害保険協会の会長に6月30日就任した船曳真一郎氏(三井住友海上火災保険社長)は産経新聞のインタビューに応じ、火災保険の水災補償で地域ごとの水害リスクに応じて保険料を上下させる制度の導入について、慎重に検討を進める考えを示した。
災害が少ない低リスク地域の顧客にとって現状の一律の保険料値上げに対し不公平感が強まっている。一方、リスクの高い地域の値上げで保険料に差が広がると、保険離れにつながる懸念も指摘されている。
船曳氏は「リスク実態に合わせて保険料を決めるという単純な制度にはならない」と強調。「リスクの高い地域の人ほど入りにくくなる制度は健全な保険制度ではない。公平性と保険制度としての持続性をどのように担保するかが重要だ」と述べた。
金融庁の有識者会議が6月、地域別の保険料のあり方について議論を開始。年内にも基本的な指針をまとめ、業界団体の損害保険料率算出機構が保険料算出の目安を示す。損保各社は令和5年度以降にも同料金制度を導入するとみられる。
また、サイバー攻撃被害に備える保険で、被害が急増している攻撃で要求された“身代金”の支払いを補償すべきかについては、「(身代金を保険で迅速に支払う企業が増えれば)リスクを誘発するとの指摘もある」と説明。ただ、「補償するのが正解なのか、ないのが正解なのか、単純には決められない」と述べ、明言は避けた。
新会長として取り組む重点課題については、「持続可能なビジネス環境の整備」「災害に強い社会の実現」「損害保険リテラシーの向上」の3点を掲げ、「協会長として損害保険業界をしっかりとリードしていく」と抱負を語った。