金融

東証の再編判定、迎えた基準日 東芝の行方にも注目

 東京証券取引所の市場再編で、企業が新区分への移行の条件に合致するかどうかを判定する基準日の6月30日を迎えた。東証は30日時点の各企業の流通株式時価総額などを判定し、各市場の上場基準に照らして7月に新区分の適合状況を通知。企業は年末までに上場先市場を選んで申請する。東証1部に代わる最上位のプライム市場はより厳しいガバナンス(企業統治)基準が求められており、6月の株主総会前にガバナンス上の課題が露呈した東芝の行方も注目される。(西村利也)

 東証は令和4年4月4日に東証1部など4つの市場区分を廃止し、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つの市場に再編する。従来の1部は時価総額250億円以上などが基準だが、プライムでは親会社などの自己保有分などを除き市場で売買できる流通株の時価総額で100億円以上が条件となる。加えて、多くの投資家が取引しやすいよう全株式に占める流通株の比率は35%以上を維持しなければならない。

 この基準を満たすべく、大株主に株式を売り出してもらったり、自社株を買い取り消却させることで流通株比率を高める動きが相次ぐ。衣料品通販サイトを運営するZOZOは創業者の前沢友作氏の保有する自社株の一部を取得して売り出したり、トヨタ自動車は大株主となっている傘下企業の株式売却を進めた。

 さらにプライム銘柄には、企業の質向上を促し、グローバルの投資マネーの呼び込みを狙うという市場再編目的に沿って、社外取締役や女性の活用、人権や気候変動への対応など従来の市場よりも厳しいガバナンス基準も設けられる。一連の基準達成のハードルは高く、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の5月末の試算では、約2200社ある1部企業のうち、プライム基準を満たすのは約600社にとどまるようだ。

 ただ、既存の東証1部企業は、プライム市場の基準に未達であっても改善計画を提出すれば当面の間、上場を維持できる経過措置がある。そのため「株価や資金調達への影響を考えれば、1部上場企業のほとんどはプライム市場に移行する見通しだ」(SMBC日興証券の伊藤桂一チーフクオンツアナリスト)。

 とはいえ、経済産業省と一体となった一部株主への圧力問題が表面化した東芝や、鉄道向け空調設備で不正検査が明らかになった三菱電機など、ここに来てガバナンス上の課題が浮き彫りになった企業が基準を満たす改善計画を示して、スムーズに選択した市場に移行できるかは見通せない。

 日本取引所グループ(JPX)の清田瞭最高経営責任者(CEO)は、6月の定例会見で東芝について、「今回のような(ガバナンス上の)問題を抱えている企業については(経過措置の扱いを)整理できていない」と説明。今後の検討課題として東証も対応を求められそうだ。

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