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スエズで座礁のコンテナ船、賠償額で正式合意 近く解放の見通し

 【カイロ=佐藤貴生】エジプトのスエズ運河で3月下旬、「正栄汽船」(愛媛県今治市)所有の大型コンテナ船が座礁した事故で、所有者側の代表とエジプトのスエズ運河庁は4日、賠償条件などで正式に合意した。ロイター通信が伝えた。

 7日に合意文書への署名が行われ、現場近くに留め置かれていた船は出航が認められる見通し。

 ロイターは4日、所有者側の交渉を担当した英国の法律会社が「船の解放に向けた準備が行われる」とする声明を出したと伝えた。

 運河庁は当初、遺失利益などの名目で賠償金約9億2千万ドル(約1020億円)を要求。その後、5億5千万ドルまで減額され協議が続いていた。

 最終的な賠償額は不明。所有者側は6月下旬、運河庁側と基本合意に達したと述べていた。

 座礁したのは台湾の「長栄海運」が運航していた「エバーギブン」で、事故は中国からオランダ・ロッテルダムに向け、スエズ運河を北上中の3月23日に起きた。重機やタグボートを投入して離礁作業が進められ、6日後に船体の移動に成功した。エジプトの裁判所が船の出航を禁じ、現場近くに留め置かれていた。

 エバーギブンは全長400メートル、幅約60メートルと世界最大規模の大型船で、事故当時は約1万8千個のコンテナを積載。運河を航行する他の船舶に大きな影響が出た。(【コンテナ船が驚異の躍進】「米中貿易衰退」覆る、記録的増収後押し)

 正栄汽船は事故後、「荒天に遭遇して座礁した」とし、航行に被害をもたらしたことを謝罪した。

 アジアと欧州を最短距離で結ぶスエズ運河は1869年に開通。液化天然ガス(LNG)やLPガスのほか、自動車などの工業部品を運ぶ船が年間2万隻近く利用している。

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