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豪雨から1年 福岡・大牟田市、排水ポンプ場強化など対策着々

 昨年7月の豪雨で市街地が大規模冠水し、2人が犠牲になった福岡県大牟田市の関好孝市長は2日、記者会見し「豪雨被害の教訓を生かして災害に強いまちづくりを着実に推進したい」と語った。同市は、第三者委員会「7月豪雨災害検証委員会」の提言を踏まえ、来年度までに排水対策基本計画を策定。今も仮住まいを続ける被災者の生活再建を支援しながら、市街地の内水氾濫拡大につながった排水ポンプ場設備の強化や防災情報の共有を進めている。

 三川ポンプ場建て替え

 同市では昨年7月6日、1カ月分の降水量を上回る455ミリの観測史上最大級の降水を記録。市内を流れる河川が一部であふれ、排水が追い付かない三川地区などの市街地では内水氾濫が起きた。このため、逃げ遅れた2人が死亡、約2100棟が浸水した。検証委員会は災害拡大の背景を分析。2月に13項目の提言をまとめ、改善を求めた。

 市は提言を受け、来年度までに浸水被害の軽減に向けた排水対策基本計画を策定することにした。計画の柱の一つは、配電盤まで浸水し停止してしまった三川ポンプ場の建て替えだ。約30億円を投じて、隣接地の公園に新たなポンプ場を建設する計画。現在基本設計を行っており、早ければ来年度にも着工する。

 市は6月、応急措置として12基だった三川ポンプ場のポンプを2基増設し、排水能力を毎分645立方メートルから695立方メートルに強化した。さらに配電盤などの電気設備も約1・3メートルかさ上げして耐水化を図った。明治、浜田町、諏訪の3ポンプ場の耐水化も来年度から実施する方針。

 市内には諏訪川、大牟田川、堂面川など福岡県管理の2級河川5本が流れる。昨年7月の豪雨では堤防から雨水があふれる「越水」も一部で確認されており、市は今後、「流域治水」の考えに基づき福岡、熊本両県や周辺市町などと河川改修について協議する。また雨水の一時的な貯留施設として農業用ため池、公園、学校の運動場などが活用できないかも検討する。

 防災専用HPを開設

 市民に向けた情報発信も改善された。市は三川ポンプ場が停止した情報が全部局で共有できなかった教訓から、災害対策本部に防災情報を集約するシステムを導入。ポンプ場に監視カメラを付けて運転状況を本部で把握。河川やため池、道路にも監視カメラや水位計を設置。48カ所ある避難所の収容人数も一目で分かるように情報を集約する。

 こうした情報は、新たに設けた防災専用ホームページを通じてリアルタイムの情報を市民に発信する。無料通信アプリ「LINE(ライン)」の活用も始めた。また、昨年の豪雨で小型ボートが活躍したことから、消防のボートを20隻に増やした。

 関市長は、この日の記者会見で、昨年7月の豪雨を振り返り、「市内全戸に昨年冠水した地域が分かる浸水マップを配布した。本格的な梅雨シーズンを迎えるが、あらゆるツールを動員して市民に警戒を呼び掛け、防災・減災を図りたい」と述べた。その上で「災害に強いまちづくり」を進める方針を強調。仮住まいを続ける被災者89世帯183人の生活再建を支援しながら、復興・復旧を目指す考えを示した。(永尾和夫)

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